成功に導く。そのために私たち自身が成長し続ける

PROFILE

小岡 崇

営業職としてキャリアをスタートし、SaaSを提供するベンチャー企業では営業責任者を経てカスタマーサクセス(CS)組織の立ち上げに携わる。2020年10月に「楽楽精算」CSマネージャーとしてラクスに入社し、現在はパートナーセールス経由の顧客を対象としたCS組織をマネジメントしている。

関係先すべてに介在価値を提供し続ける

小岡さんがマネジメントしているチームのミッションを教えてください。

まず、CS部門のミッションは、「顧客を成功に導く。成功させ続ける」です。
その中で私の部署のミッションは「関わるステークホルダーに対しストレスのない仕組みを構築しCSの介在価値を出す」と掲げています。

「楽楽精算」のカスタマーサクセス(CS)部門にて、私の部署ではパートナー(販売代理店)経由で「楽楽精算」を導入していただいたエンドユーザーに対するCS活動を担っています。あわせて導入前後の各段階において、パートナーの提案活動をフォローするための資料や情報の提供なども随時行っています。加えて、営業部門の事務稼働削減に向けた業務整理の協力まで行うなど、活動は多岐に渡ります。

そのすべての起点となるのが、ユーザーを成功させ続けるための介在価値の提供なのですね。

はい、そこにはブレがありません。

「CS」という職種が日本に登場し始めてから、まだ20年足らずです。CSといえばこうあるべきという概念が各企業においてもまだまだ定まり切っていない状況にあるのではないでしょうか。企業・サービスの成長フェーズやスタンスによってもCSの役割は異なり、CSと呼ばれる組織のなかには既存顧客からの新たな売上獲得やカスタマーサポートとしての役割の比重が高いCS部署もあるかと思います。

そのなかにおいて、私たちが一貫しているのは「ユーザーファースト」。ユーザーからのお困りごとのご相談を待つのではなく、ユーザーが「楽楽精算」をどう活用したいのか、何を成し遂げたいのかという目的を共有し、そのためにどんな課題があり、どう解決していくのか、私たちから継続的に、そして能動的に提案し続け、ユーザーの成長に伴走しながら課題解決をもたらします。

決して簡単ではありません。だからこそ、ユーザーやパートナーの成長を支え続けるためには、まず私たち自身がたゆまず成長し続けていく必要があります。

メンバーを急かさない。成長を一歩ずつ実感してほしい

メンバーの成長を促すことが、小岡さんの大きなミッションだと。

はい。私は元々「成長」という言葉がとても好きです。メンバーの成長の力になれるよう、過去にはコーチングについて体系的に学び、認定資格も取得しています。

私が実践しているコーチングのポイントは、目標を達成すればOKというのではなく、メンバーそれぞれが自身のあるべき姿を目標と重ね、何にどう取り組むと達成に近づけるか考え、その行動と結果によってどれくらい成長できたのかを実感できるように伴走するということです。

具体的には?

まずメンバーそれぞれの現状を把握したうえで目標を設定し、達成のためにどんな課題があるのか、それらを解決するにはどうすればいいかを本人と一緒に考え、共通認識します。そして毎月、「この点は改善された」「3カ月後にはこの足りない面を伸ばそう」と、定期的に振り返りを行い、成長を一緒に確認し、目標達成に向けて寄り添い続けます。

たとえ結果として目標達成に至らなくても、「この点はとても伸びた」「チャレンジが次につながっている」と、決して悲観せず、自己肯定感を持ち続けられるようにフォローしています。

そうすることで、顧客に対しても「導入目的」を軸に、活用までの段取りだけでなくモチベーションの醸成も含めたフォローに繋がります。

CSの目標とは、継続率や解約率、LTV(顧客生涯価値)などの数値目標でしょうか。

確かにそれらの数値が目標になります。ただ、いきなり達成を求めるようなことはしていません。

富士山登頂をめざす際にも、まずは自分の状態をふまえてからどのルートで山頂をめざすのがベターなのかを検討し、1合目、2合目、3合目……と、一つずつクリアしていきます。そうすることで、やがて山頂がくっきりと視界に入ってきます。

私の目標の考え方も、同様です。最終的な目標達成に向けて、現状と課題をふまえていつまでに何をやるべきかというステップを考え、その過程一つひとつの達成度を目標として設定します。そうすることで、「ここまでクリアした」「このスキルを高めるためにこの業務が必要」というように、自分の成長度ややるべきことが掴みやすくなります。その先にこそ、大きな目標の達成があり、自身の成長をより強く実感できるとともにチーム全体が成長している状態が実現できるのだと思っています。

中途入社の場合、すぐに結果を求められるようにも思われますが。

入社後にいい意味でギャップを感じてもらえるはずです。もちろん、早く結果を出してもらえると嬉しいですが、私から急かすことはありません。3カ月で一人立ちという目標はありますが、半年かけて一人前に育ってもらえたらいいと思っています。

「利他的であり、主体的であること」が大切

では、小岡さんから見て、どういう人が活躍できると思いますか?

自組織がどこに向かっているのか、ゴールに対する理解力がある人でしょうか。ゴールに向けて何が必要なのかを考え、整理して行動している人とは、意図を共有しやすいですし、建設的な話ができます。

ラクスには入社前からその素養を持っている人が多い?

どちらかというとラクスに入社後、こういった思考力を高めているメンバーが多いと思います。その過程で大事なのは、「自分はゴールの本質を十分理解できていない」ということに気付けるかどうか。「この行動はゴールに紐づいているのだろうか」とモヤモヤした時には、いつでも相談できる環境を作っていますし、そのラリーがあるからこそ理解が深まると思います。

お客様の課題を見つけ、解決をめざすというCSのスタンスにも通じます。

そう思います。例えば、「導入支援○件」という業務上の数値目標ばかりに目が行ってしまうと、導入終了で満足し、その後のフォローがおろそかになりかねません。それでは、「顧客を成功に導く。成功させ続ける」という本来のゴールからぶれてしまいます。

CSの本来あるべき姿をしっかりと理解し、ユーザーの成長に対して介在価値を発揮すること。CS業務の一つひとつに対して、「ユーザーに寄り添えているのか」と自問し、ユーザーのために何ができるのかをあらためて考え抜き改善を重ねる。そのプロセスを重ねていければ、素晴らしいCS人材に成長できると思います。

まさしくユーザーファーストの考え方ですね。

そういう意味では、CSに必要なのは「利他的であり、主体的であること」だといえます。これも、決して簡単ではありません。

ユーザーによってITリテラシーもDXへの熱量も千差万別であり、課題解決に向けたアプローチの仕方も異なります。課題解決のためには、いろんな角度からユーザーに合った打ち手を主体的に考え、実践し、検証することの積み重ねが必要であり、通り一遍にはいかないからこそ、CSが介在する価値があると思っています。

CSのスタンダードを自分たちでつくれる

ラクスでは、会社・事業の目標・戦略が明確に示されています。チームをまとめる立場としては、動きやすい?

入社する前は、ラクスは何事もロジカルに進めることを徹底しているので、硬くて自由度が少ない会社なのかなというイメージがありました。

しかし実際には違いました。世の中に価値を提供できるのであれば、目標に向けてどうアプローチするのかは一任されています。ラクス自体がそうしたスタンスなので、私自身も、メンバーそれぞれも、ゴールを見据えてどんな価値をどう提供するか、自分に何ができるのかを考え、主体的に動くことができています。

では、新しくお迎えする仲間に期待することは?

私のチームには、前職でのジレンマを払拭したいと考え、営業、カスタマーサポート、エンジニアなどからCSに転身したメンバーも多いです。

例えば、営業出身者は「お客様に売って終わりで、サービス導入後のフォローまで行き届かず、お客様への貢献を感じられなかった」と言います。カスタマーサポート出身者は、「もっとお客様のためになる提案をしたいのに、決まったことしか案内できなかった」と。エンジニア出身者は「自ら開発したシステムがどう役立っているのかが見えず、つくって終わりになっていた」と、ジレンマを感じていたそうです。

ジレンマの源泉には、「お客様のためにもっと貢献したい、継続的に価値を提供したい」という気持ちが共通しています。それを実践できるのがCSという仕事であり、ユーザーに寄り添い続け、継続的に課題解決を支援することが大事だと考えている人にこそ、是非チャレンジしてほしい仕事です。新しい仲間とも、この気持ちや価値観を共有し、多くの人にCSの介在価値を広めていきたいですね。

CSという職種はまだまだ過渡期にあり、やれることが大きいですね。

私自身、CSに大きな可能性を強く感じているひとりです。いつか自分のビジネス人生を「世の中に貢献できたな。よくやったな」と振り返られるように、まだ歴史の浅いCSという分野の仕組みを築き、未来に受け継ぎたいという思いがあります。

CSのスタンダードを自分たちで切り拓くことが可能だということです。営業でいえば、コンサルティング営業、ソリューション営業、新規開拓営業など、さまざまな営業スタイルがスタンダードとしてあげられます。同じように、CSにもいろんなタイプが出てくるでしょうし、ラクスでのCS経験を通じて、広く認知されるCSのスタイルをメンバーと一緒につくっていきたいですね。

Back to list