人材開発課に聞く、人材育成のポイントと研修体制

PROFILE

上祢真衣

新卒採用・育成、総務業務に従事したのち、教育企画担当として2019年7月に入社。2021年8月からは主に若手・中堅層の階層別教育業務に従事し、中途入社者のオンボーディング等にも貢献している。

組織やチームの目的に対して貢献できる人材をめざしてほしい

まずはラクスとして「社員にめざしてほしい姿」とは?

単純に個人の能力が高いだけではなく、「組織やチームの目的に対して貢献できる人材」をめざしてほしいと考えています。

 なぜそう考えているのでしょうか。

ラクスは会社としてのミッション・ビジョン・戦略ゴールを明確に定めていて、それを実現するために、各事業部・各組織が目標を立てて実行しています。 

一方、社員が自組織の目的や目標を正しく理解できていないと、その実現に向けた必要な手段や行動を導き出せず、ただ目の前の与えられた業務をこなすだけになってしまいます。

 業務自体が目的化してしまい、本来の目的から乖離してしまう。

はい。そうではなく、会社や自組織のミッション・ビジョンをしっかりと把握したうえで、その実現のために自分は何をすべきなのかを考え、行動することが重要だと考えます。

そのため、中途入社の方には入社初日のオリエンテーションで会社のミッション・ビジョン・戦略ゴールを丁寧にお伝えしています。また階層別研修においては自組織の目的を自分でかみ砕いて言語化し、より深く理解する機会を設けています。

そして、自分の役割を明確にしていくというアプローチですね。

はい。その指針として、ラクスには職種×等級の「等級定義書」があり、各職種の等級ごとに役割、職責、そして期待される発揮行動=コンピテンシーが記載されています。

等級が上がるにしたがって、事業全体に視座を高めていく

ラクスにおける等級の仕組みを教えてください。

中途入社の場合、前職での経験を基に等級を決定します。

ラクスでは、一般的に若手・中堅と呼ばれる層をキャリア職と呼び、C1→C2→C3のいずれかからスタートします。C3から先は、本人と上司が相談のうえ、マネジメント職とスペシャリスト職のどちらかを選択できます。

等級ごとに求められている役割や行動は?

C1は、上司や先輩社員の指示のもと、担当業務を計画的に実行します。報告・連絡・相談などの基本的な行動を取りながら、ラクスの仕事を覚えていくという段階です。

C2に求められるのは、「自立」です。例えば営業として「今期の目標は○件」といった目標が設定された場合、それを達成するために自ら手段を考え、仮説と検証を繰り返しながら成果をあげていくことが求められます。

C3は、より視座を高めながら、自分の経験を組織に還元し貢献することが求められます。自分のことだけでなくチームやプロジェクト全体を見渡し、周囲を巻き込みながらPDCAを回し、業務を遂行する立場です。

つまり、C2では自分に紐づいた目標の達成や明確な課題の解決に取り組み、C3ではチームや部署、事業全体に視座を高め、自ら新しい課題を設定し、解決することが求められるということです。

C3の先についてはどうでしょうか。

マネジメント職は、チームの目標達成に向けてメンバーを成果創出に導くスキルが求められます。スペシャリスト職は、専門性を発揮してチームを目標達成に導くことが求められます。

期待される発揮行動=コンピテンシーを重要視

上位の等級をめざすには、専門性の発揮に加え、組織・チームの目標に対するコミットメントをより強めていく必要がありますね。そのために必要な知識・スキル・考え方などをインプットし行動変容できるよう、研修でフォローしているということですか。

そうです。研修では特にコンピテンシーを伸ばすことに注力しています。

といいますと?

ラクスでは、社員の能力を「成果に繋がる行動」という視点で観た「コンピテンシー評価」と、「成果」という視点で観た「パフォーマンス評価」の2つを実施しており、上位の等級を目指すには、コンピテンシー評価における「期待される発揮行動を一時的ではなく、継続的にどのくらい発揮できているか」がより重視されるからです。

ラクスのコンピテンシー(期待される発揮行動)とは、思考力、行動力、人間関係力、組織推進力の4つです。

コンピテンシーを発揮しているからこそ、その結果として成果にも結び付いている。つまり、目標を達成することももちろん大切ですが、「どのように考えて行動したか」も大切ということです。

私たち人材開発課が行動変容に繋がる施策を実行し、社員一人ひとりが成長し続けることが、ラクスの成長に繋がると考えています。

現場と接続した、成果につなげる研修体系

具体的にはどのような研修を行っているのですか。

コンピテンシーを伸ばす、つまり行動を変えるためには、「経験し、内省し、持論化し、試行する」という経験学習サイクルを継続的に回すことが必要ですので、階層別研修では半年以上継続するプログラムも実施しています。

例えば、AM/SPをめざすC3向けの「コンピテンシー強化プログラム」。ミッション・ビジョンの理解からスタートし、論理的思考、自己変革、行動力、リーダーシップ、人間関係力など、上位等級に求められる知識・スキル・マインドを習得し行動変容を促す半年間のプログラムです。 

管理職をめざすAMに対しては、「NLP」という半年間のプログラムを行っています。マネジメントの基本や事業理解、マーケティング、課題設定力、リーダーシップなど、管理職に必要とされる知識・スキル・マインドの習得と自組織の理解を図る内容です。

C2に対してはいかがでしょうか。

「ビジネススキル強化研修」として半年間、eラーニングを受講しながら、定期的にeラーニングの内容に紐づいた内製の研修を任意で受けていただきます。

eラーニングはこちらから受講するプログラムを指定するのではなく、「どういう知識・スキルを得る必要があるのか」について、本人が上司と相談しながら考え、自分で計画を立てて受講を進めていきます。研修は、eラーニングで学んだ知識が身についているかをワークを通じて確認することと、実際に職場でどのように活用するかを考えていただくことを目的として実施しています。

このビジネススキル強化研修は、本人が上司と相談しながら自発的に自分の課題を考え、計画を立てて受講を進めていきます。このプロセスは、C3に求められる思考力・行動力の発揮にも繋がると考えています。

各階層向けの研修は、どのように進めているのですか?

座学で知識をインプットするだけではなく、ケースワークをたくさん取り入れ、なるべく参加者同士で議論して学びを深められる内容にしています。

例えばコンピテンシー強化プログラムでは、研修前に360度評価を行い、受講者の結果をそのままケースとして扱い、みんなでその人の改善に向けた課題設定を支援するというワークを実施しました。

講師と参加者が議論を交わしながら進めた結果、参加者からは「自分のあるべき姿や現状を掘り下げ言語化することで、自分になかった視点を増やすことができた」といった感想もいただいています。

そして、経験学習サイクルを回していくのですね。

はい。研修をその場限りにするのではなく、学んだことを明日からどう業務に活かしていくか、どういうプロセスで何に取り組んでいくかを考え、実践と検証を重ねることが大事だと考えています。

例えばビジネススキル強化研修では、研修を受ける前に参加者と上司で研修の受講目的や成長課題を確認してもらいます。そして月に1回のペースで進捗状況を確認し、eラーニングによる学びと今後の取り組みについて話し合い、上司からフィードバックを受けながら、行動変容に繋げていきます。

研修でも常に目的を重視し、見失わないようにしているのですね。

そうですね。ラクスでは「目的思考」を非常に大切にしています。目的とゴールを理解したうえで、あるべき姿と現状のギャップをしっかり特定し、正しい手段を講じていく。この思考・行動は、役職や職種によって求められる範囲やレベルは違えど、ラクスの社員に求められます。 

ラクスの人材育成のこれから

今後、人材開発課で取り組んでいくことは? 

現在の育成施策のアップデートと新しい施策の検討です。人材開発課の立ち上げは2021年8月なので、新しい施策も多く、これから施策の効果検証をしていくものもあります。よりコンピテンシーの発揮に繋げられるよう、PDCAを回してよりよい施策を提供していきます。また、新しい施策の検討も同時に進めていきます。

そして、事業部内の育成担当者との連携です。事業部にはより専門性に特化したイネーブルメント担当や育成担当がいますので、連携しながらラクスの人材育成システムを確立していきたいと思います。

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