誰もがデザインを作れる時代に、デザイナーの役割を再定義する

PROFILE

青柳 康之

プロダクト部 プロダクトデザイン1課 課長

大手BPO企業で大規模Web制作・運用PMを14年経験後、大手通信業界でUXデザイン・サービスデザインに従事。2025年1月ラクス入社。ユーザー体験を起点にしたデザインを信条に、開発・事業・デザインをつなぐ組織づくりに奮闘中。事業価値を高めるための会話が好きで、多くの方と良い関係を築いていきたいと思っています。

ラクスに入社を決めた理由、背景等を教えてください

ラクスを選んだ理由は大きく二つあります。一つは、市場で一定のポジションを確立しながらも、経営層が手堅く論理的にビジネスを成長させている姿勢に関心と信頼感を覚えたこと。もう一つは、採用時に声をかけていただいたデザイン組織や人事の方々の熱意です。開発本部長である公手さんが自らカジュアル面談に来てくださり、選考中も頻繁に連絡をとって熱意を伝えてくださったことで、「この方々と一緒に仕事をしてみたい」という気持ちが固まっていきました。

入社後は、丁寧なオンボーディングと皆さんの温かい対応のおかげで、ゆっくりと環境に馴染むことができました。一方で想像以上だったのは、デザイナーが開発責任者が提示する要件定義に従ってデザイン依頼を受けるだけの関係にとどまっているケースが多かったことです。デザイナーがもっと顧客を理解し、プロダクトの意図に踏み込んで意見を出せるようになるべきだと強く感じ、それが今の自分のミッションにもつながっています。

自組織の業務内容と役割を教えてください

プロダクトデザイン1課は、楽楽勤怠・給与計算OP・楽楽従業員ポータル・楽楽自動応対・楽楽メールマーケティング・楽楽請求・楽楽販売と幅広いプロダクトのUI/UXを担当しています。

組織のミッションは「フロントオフィス・HR-Tech・マルチプロダクトにおいてUI/UXを通じて価値貢献する」こと。

ビジョンとして「顧客の声を誰よりも早く形にし、プロダクトの進化をリードするデザイン組織」を掲げています。

現在11人で構成されており、私がマネージャーとして全体を見ながら、各メンバーがプロダクトごとに担当を持って業務にあたっています。

他組織との関係性はプロダクトによって異なります。楽楽勤怠・楽楽従業員ポータルは開発部門と同じフロアにあり、いつでも気軽に話せる環境です。企画部門も週1でフロアに来て戦略的な議論を行っており、デザイナーがリサーチ設計から上流工程に主体的に関わっています。

楽楽自動応対・楽楽メールマーケティングは拠点が大阪にあるためリモート中心のコミュニケーションとなりますが、AIで作成したデザインモックをベースにPdMや企画メンバーと対話できる関係が築けてきています。

一方、楽楽請求・楽楽販売については現時点では依頼ベースの関わり方にとどまっており、まず関係構築を優先しながら段階的にデザイナーの関与を深めていく方針です。

チームの日々の業務の流れを教えてください

業務の流れは担当プロダクトによって異なりますが、基本的には商材ごとに事業部・開発・デザイナーが複数名でチームを組み、日次の朝会や週次の定例を通じて役割を決めながら進めていきます。

以前は開発から要件定義を渡されてUIデザインを作るという流れが主流でしたが、最近はデザイナーが上流工程から参加し、AIを活用したUIモックを早い段階で提示しながら要件を一緒に固めていくスタイルが増えています。

検討を可視化しながら議論をリードする役割をデザイナーが担うようになってきています。

開発サイクルも変化しており、以前は2〜3ヶ月周期だったリリースが、規模によっては2週間〜1ヶ月程度に短縮されるケースも増えてきました。

私自身は昨年度の採用で経験豊富な上位等級のメンバーが増えたことで現場の朝会や定例への参加は減り、事業部・開発の主要メンバーが集まる戦略的な場やUXデザインに関わる上流の検討に参加することが多くなっています。

組織としてメンバーが最も活きる形は何かを考え、上司や現場メンバーと対話しながら組織づくりに向き合う時間も増えています。

働き方については、有休やシックリーブを1時間単位から柔軟に取得できる環境で、皆さん積極的に活用しています。週1回の出社任意日(水曜)は在宅を選ぶメンバーが多く、MTGを入れずに業務に集中する日として活用されています。

チームではAIをどのように活用していますか?開発や業務にどんな変化をもたらしていますか?

Claude CodeやCodexを活用したUIモック作成が、今ではチームの多くのメンバーの標準的な業務スタイルになっています。初期検討段階から使用感のあるUIデザインを提案できるようになったことで、要求〜要件定義の議論に具体性が生まれ、関係者の理解や解像度が格段に上がりました。

プロダクトへの影響も出始めています。

楽楽メールマーケティングでは、UIモックベースで検討してデザインを固める工程そのものを要件定義と位置づけ、それをもとに開発の詳細設計を進める運用に変化しました。
また、楽楽勤怠のUX改善プロジェクトでは、AIで作成したUIモックをベースに社内リサーチを早期に開始したことで戦略自体が見直され、UX改善施策がロードマップに組み込まれるという成果にもつながっています。

チームの取り組みとしては、当初はナレッジ共有会でAI活用事例を発表する形で進めていましたが、浸透が進むにつれてメンバー同士が自然に事例を発信し合い、商材を超えて質問し合う様子が日常的になってきています。

AIの活用はデザイン提案スピードの向上にとどまらず、デザイナーが上流工程から主体的に関わっていく役割の変化そのものを後押ししていると感じています。それと同時に誰でもデザインできる状況になっているので、我々の専門性を生かしながら、そのプロダクトにとって一番良い関わり方を模索することを意識しています。

開発としての事業への関わり方を教えてください

顧客課題の把握という点では、営業やCSが収集した顧客要望・課題リストの閲覧や商談動画の確認がほとんどのプロダクトで整っています。また楽楽自動応対・楽楽メールマーケティングでは定期的な顧客ヒアリングにデザイナーが参加し、企画内容のニーズ深掘りやプロトタイプの使用感を直接確認できる機会もあります。

一方で、デザイナーが自ら一次情報を取得し、顧客課題から機能開発の企画・戦略を事業部と一緒に作り、ロードマップの意思決定に関与していくという理想の姿には、正直まだ達していません。楽楽勤怠・楽楽従業員ポータルで一部その状況を作ろうとしている段階です。

ただ、これは裏を返せば「これから作っていける余地がある」ということでもあります。

デザイナーが顧客接点を持ち、事業の意思決定に影響を与えていく組織にするために、事業部・開発メンバーと丁寧にコミュニケーションを取りながら一歩ずつ変えていくプロセスそのものに関わることができます。

既に完成した環境ではなく、自分たちの手で作り上げていくことにやりがいを感じられる方には、非常に面白いフィールドだと思っています。

チームの雰囲気を教えてください

チームの雰囲気はフラットで、意見を言いやすい環境だと思います。

ただ正直に言うと、意見が言いやすいことと、すぐに取り入れられることは別の話で、会社全体としてデザイナーが意思決定に関与する文化がまだ途上にあるため、丁寧に関係者と対話しながら理解を積み重ねていく姿勢が求められます。開発組織全体として静かな方も多いですが、対話すれば意向を聞いてもらいやすい雰囲気はあります。

チームイベントはまだ発展途上です。どうしてもプロダクトカットでコミュニケーションが完結しがちで、デザイナー同士の横の連携は現在強化中です。

個人間のつながりや一部プロジェクトを通じた連携は生まれてきており、入社時の歓迎会や定期的な飲み会、組織を超えた業務時間外のイベントなども企画されています。

「すでに出来上がったチーム」というよりは、一緒に育てていける段階にあるチームです。

チームでは、どんなやりがいを感じられますか?

このチームでのやりがいは、単に機能追加の依頼に応えるUIデザインを作るだけではなく、プロダクトのビジネス的な成長を意識しながら「デザインがどんな価値を生み出せるか」を自分の頭で考え、提案していけることにあると思っています。そのためにはビジネス・業務・プロダクト・ユーザー・法律など幅広いドメイン理解と、自分の考えをアウトプットして関係者に伝えていく力が求められます。決して楽な道ではありませんが、その分だけ成長実感も大きい環境です。

また、商材の状況次第ではありますが、社内外へのアンケートやインタビューを通じて顧客解像度を高め、デザイナーが中心となってUX施策を提案し、開発ロードマップが組み替えられるような経験もできます。自分たちの提案が実際にプロダクトの方向性を変えていく瞬間は、大きなやりがいになるはずです。

実際に、プロダクト開発の経験がなかった若手中途メンバーが、新規プロダクトの担当として半年間でPdMと協業しながら上流工程の一部を担うまでに成長した例があります。

ドメインをしっかり学び、要求に対して自分なりに課題を捉えてPdMに提案し続けた積み重ねが、その方の仕事のスタイルそのものを変えていきました。こうした成長が生まれやすい環境であることは、チームの大切な特徴だと思っています。

マネジメントにおいて重視されていることはありますか?

マネジメントで最も大切にしているのは、スキルだけでなくメンバーの性格や個性を見ることです。1on1では本人がやりたいこと・目指したいことを丁寧に聞き、そこにつながっていく仕事や環境をなるべく与えられるよう意識しています。商材の状況や本人のスキルによって、必ずしも希望通りの環境を提供できるわけではありませんが、その背景や理由をきちんと理解してもらえるよう、常にメンバーの意思や状況を確認し続けるようにしています。

自律性については、メンバーに任せること・裁量を与えることを重視しています。一人ひとりの状況に合わせてポジションを設定しつつも、その範囲の中でメンバー自身が考えて動ける環境を作ることを大切にしています。

顧客志向をチームに根付かせる工夫としては、楽楽勤怠のチームでMission/Vision/戦略ゴールを通じて「上流工程から関わること」「AIを活用したデザインを行うこと」を明示し、都度メンバーに伝えながら意識醸成を図ってきました。また、リードする役割を持つメンバーとそこから指示・フィードバックを受けながら業務するメンバーという縦の関係を意図的に設計し、スキルに応じた段階を持たせるようにしました。

その結果、リードメンバーが自主的にメンバーと1on1を行いながら育成に関わるようになったり、AI活用のナレッジをチーム間で共有するなど、組織全体のスキル底上げにつながっています。

活躍できる方の人物像を教えてください

AIの急速な発展とデザインを取り巻く環境の変化を踏まえると、今後はAIを活用してUXデザインを実践できるスキルと、自分の考えを自分の言葉で伝えられる力がますます重要になると考えています。

マインドセットとして特に重視するのは自律性です。

AIがさらに進化していく中で、変化に柔軟に対応しながら自ら考えて動ける行動力が求められます。指示を待つのではなく、自分なりに課題を捉えて提案し続けられる方が活躍できる環境です。

一緒に働きたいのは、AI活用をデザイン領域で積極的に試してみたいという好奇心がある方、そしてUXデザインをビジネスに接続して事業の成長に貢献していくという考え方に共感してくれる方です。まだ完成していない組織だからこそ、自分の手で何かを作り上げていくことにやりがいを感じられる方と、ぜひ一緒に挑戦していきたいと思っています。

入社された方と取り組みたい課題、またチームで目指す組織像を教えてください

直近1〜2年で取り組みたい課題は、AIの進化に対応したデザイン業務の形を確立することと、ラクスにおけるプロダクトデザイナーの業務役割を再定義することです。バイブコーディングの登場により、今や誰でもデザイナーが作るようなデザインを作れる時代になりつつあります。その流れを加速させながら、その中でデザイナーの専門性をどう活かすか、どこに関わることで最大の価値を生み出せるかを真剣に考えなければいけない局面にあります。また、引き続き上流工程により深く関わっていけるメンバーを育てていくことも重要なテーマです。

中長期で目指すのは、ユーザーの特性や心理面まで考慮した視点でビジネスや開発と対等に対話し、プロダクトの発展に主体的に寄与できる組織です。デザイナーが意思決定の場に当たり前にいて、その発言がプロダクトの方向性を動かしていく、そんなチームを作っていきたいと思っています。

新しく入るメンバーには、まずこの目指す組織像に共感してもらった上で、担当する商材を通じて課題や打ち手を一緒に考えながら、自走して実現に向けて動いてもらいたいと思っています。答えが用意されているわけではないからこそ、自分の頭で考えて動ける方にとっては、非常にやりがいのある環境だと思っています。

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