日本とベトナムをつなぐオフショアチームの仕事の進め方

PROFILE

永田 光一

楽楽精算開発課

都内理系大学の情報系学科を卒業後、2019年に新卒で入社。1年ほど楽楽精算の設計・実装等の業務経験後、オフショア開発にシフト。現在は、日本国内のベトナム人ブリッジSE2名と、ラクスベトナムのエンジニア20人弱からなるオフショアチームのリーダーを務めている。

楽楽精算の開発を推進するうえで重要な役割を果たすオフショア開発。国内開発チームとラクスベトナム(以下、RV)をつなぐオフショアチームリーダーに、日々の仕事の進め方や仕事の環境について聞きました!

楽楽精算の開発を進めるうえでの、オフショア開発の役割について教えてください。

私がリーダーになるまでの数年の間、オフショアチームは楽楽精算の根幹となる機能ではなく、比較的小さめの案件や外部連携、不具合の修正、技術的な調査を主に担ってきました。

私がリーダーになってからは国内エンジニアを機能開発全体のPMに置き、PMと連携を取りながらオフショア開発の役割を拡大してきました。以前までの案件は継続しつつ、法改正に対応する機能開発案件の一部や、メインの経費精算業務フローに関わる案件、障害対応など、実装だけでなく業務のロジックを理解する必要がある案件も対応できるようになりました。

オフショアチームでは日本とRVのコミュニケーションを円滑にし、様々なチームや案件の内容を噛み砕きながら一次レビューや質問の対応などを実施しています。

すでに楽楽精算の開発量の4割近くはRVが担っています。オフショアチームはRVと一緒に成長しながら、さらに重要で高いレベルを目指していきます。

どんな組織体制で、どのように開発を進めているのでしょうか。

現在、楽楽精算では以下の体制で開発しています。私はオフショアチームのPMO兼BrSEを務めています。

国内エンジニア…PM
国内オフショアチーム…ブリッジSE(以下、BrSE)、PMO
RVのエンジニア…PM、PL、PG、QA

国内で開発全体のPMを立てて、BrSEがRVとの仲介、RVでは一部設計・実装・単体テスト・第三者テストを行い、納品物をBrSEが受け入れる形式です。
国内PMは5人前後、オフショアチームは現在3名、RVの楽楽精算チームは全メンバー20人弱で構成されています。

RVの中期計画としては、アーキテクチャの刷新や各機能の性能の改善、現在よりもユーザー数の多い顧客でもストレスなく使えるようなシステムのオプティマイズをメインとしていく構想です。

オフショアチーム BrSEの皆さん

基本的な業務のフローを教えてください。

現在の業務フローについては国内開発チーム⇔オフショアチーム⇔RVの連携が重要となっています。

① 国内PMからタスクの提案
② オフショアチームでタスクの要求整理・RVへ連携
③ RVで調査・詳細設計の提案
④ オフショア・国内PMの調査内容レビュー後RVで実装・単体テスト項目の作成
⑤ オフショア・国内PMのコード・テスト項目レビュー
⑥ RVで単体テスト・第三者テストの実施
⑦ オフショア・国内PMでの納品物受入

業務フロー

特に、国内PM、RVのお互いの意図を明確に伝える部分がオフショアで必要な力であり業務の1つです。日本人とベトナム人では文化もバックボーンも大きく異なります。そのまま翻訳するだけではお互いの伝えたいことの3割程度しか伝わらないため、何を伝えたいのか・何を確認したいのかを認識を合わせることで、手戻りや理解にかかる時間を削減しています。

BrSEは仕様説明や実装のフォローなどの仲介役を担っており、エンジニア知識のあるベトナム人同士だからこその、より細かな認識合わせをしてもらうことで、案件を円滑に進めてくれています。自身がメインでやり取りしていた時に比べ、認識齟齬は格段に減りました。複数の案件を進めていくうえで、重要な役割になります。

日本とRVのミーティングの進め方について教えてください。

毎日、各案件のフェーズごとの進捗と完了予定日の確認をするMTGを行っています。1日15分程度ですが、お互いの手元の準備の間などに雑談を交えたりしながらワイワイとMTGをしています。各チームの進捗確認、作業の手が空くメンバーがいつから何人いるかの確認、休暇予定の確認、国内・RVのその他報告を主に行います。国内側では日本語、RV側ではベトナム語で話して、RVの通訳メンバーが通訳をしてMTGを行います。

RVとのオンラインMTG

また、質問事項や急ぎの確認事項など、テキストベースだと不安な内容の場合には適宜MTGを開催しています。その点では、モブプログラミングとあまり変わらない感覚だと思います。

言語の壁はありますか?

私はベトナム語どころか英語もままならないです。それでも通用しているカラクリとしては、RVの通訳メンバーがとても優秀で思った通りに日本語⇔ベトナム語の翻訳をしてくれること、ベトナム人BrSEとの認識合わせを入念に行っていることがあります。

私が直接やりとりをする際も基本的に日本語で、簡単な内容は翻訳サービスなどを利用して英語で送ったりはします。国内でもBrSE以外はベトナム語、日本語を意識することなく、日本語でやり取りしています。通訳メンバー・BrSEに仲介役になっていただくことで、円滑なコミュニケーションが実現できています。

ミーティング以外でのコミュニケーションはどう行っているのでしょうか?

主には国内のエンジニア同様チャットツール、スプレッドシートなどでやり取りをしています。連絡手段としてはチャットツールを使い、案件について詳細にやり取りするのはスプレッドシートやRedmineを利用しています。

コミュニケーションで気を付けていることはありますか?

日本とRVの両チームが気持ちよくベストな実力を出すために、伝えるべきことはしっかり伝えつつ、お互いにポジティブな雰囲気でコミュニケーションすることを心がけています。RVの皆さんが日々案件を進めていただけるのはとても心強く、別のチームから寄せられる感謝の声なども漏れなく伝えてモチベーションを高め合うようにしています。

日本とRVとのチャットでのやり取り

また、日本とRVで相互理解しやすくするために、「より簡潔な」「より網羅的な」「よりフランクな」文章にしていくようにしています。日本人同士のコミュニケーションのままでは言語化できていない暗黙の部分が残ってしまい、伝えたいことが伝わり切らないことがあります。敬語が堅すぎて通訳の際に誤解が起きたこともあるため、あえて丁寧語程度で伝えるなど、正確に伝えるための工夫も様々です。

ベトナムへの出張もありますか?

私は入社した年の終わりごろにコロナが流行ってしまったため、2023年初めて出張に行きました。
大体1年に1~2回ほど、1回あたり2~4週間程度で出張します。今回はベトナム人BrSEのメンバーと一緒に行ったため、生活面も困らなかったし、向こうでは現地メンバーがめちゃくちゃおもてなししてくれました。

毎晩仕事の後にご飯や飲みに連れて行ってくれたり、土日には遠出して一緒にフルーツ狩りなんかもしました。また、社員旅行の時期に出張に行ったため、同行しました。仕事は仕事、遊びは遊び、遊ぶなら全力で!といった具合に日本ではできない体験を色々する機会がありました。

開発を通して相互コミュニケーションをとっていくことで、オフショア開発がいい形で成長していくのを実感できて仕事がとても楽しいです。

ベトナム人でBrSEを目指している方はもとより、日本人でも海外の方とやり取りをするのが好きだ!という人と一緒に、楽楽精算のオフショア開発がより発展して、オフショア開発のスタンダードになるような組織づくりをしていきたいと思います。

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