PROFILE
籾井 基義
新卒で大手ITベンダーに就職し、システム営業や新技術の商品企画に従事。その後、情報メディア企業で新規事業に挑戦し、Webサービス事業でマネージャーを経験。その後、SaaS系ベンチャー企業を経て2020年12月にラクス入社。福岡で営業マネージャーを2年半務めた後、広島および中四国のマーケット開拓をけん引する。
白地が広大な中四国エリアに営業拠点を立ち上げ
2023年1月に広島拠点を立ち上げた背景から教えてください。
広島営業所を立ち上げる以前は、広島をはじめとする中四国エリアのお客様に対して、大阪拠点のメンバーが商談やフォローを担っていました。
しかし、お客様との物理的な隔たりがあるため、地元企業の課題に寄り添うことが必ずしもできているとはいえませんでした。
そうした課題を発露に、地元に根差してマーケットの課題・ニーズに向きあうべく、中四国エリアの中核拠点として広島営業所を立ち上げるに至ったのです。
立ち上げ以前のマーケットは、どのような状況だったのですか。
コロナ渦やインボイス制度、電子帳簿保存法といった環境変化が相次ぎ、東京、大阪、名古屋などの都市部では経理業務全般のデジタル化・ペーパーレス化が急速に進展していきました。
一方、中四国エリアに目を転じると、デジタル化についてはこれからといった感じで、古くからの慣習である紙と表計算ソフトによる経費精算が根強く行われている状況でした。
立ち上げから2年(取材時)、その状況に変化は見られますか?
正直、そこまで大きな変化があるとはまだ言えないと思っています。
立ち上げ以降、「楽楽精算」を中心に中四国エリアの導入社数を着実に伸ばしてきましたが、現状においてもデジタル化にシフトしていない企業がいまだ多数を占めています。
裏を返せば、マーケットに手つかずの白地が広大にあるということです。競合他社による中四国エリアへの拠点立ち上げの動きもほとんど見られないため、私たちがこのエリアにおけるSaaSのパイオニアとなって、地元企業へデジタル化によるメリットや必要性を啓蒙し、課題解決の波をマーケット全体へ広げることが可能なのです。

地元の信頼を集める地銀と連携し、受注件数が倍増
そのためにどのような戦略に注力していますか?
広島営業所の立ち上げ前には、テレビCMによるプロモーションを強化したことがありました。しかし、テレビCMからの問合せ件数は思いのほか伸び悩みました。
この原因を探るべく、マーケットリサーチを行ったところ、広島の方々はシステム化に関する悩みごとや気になることがあれば、まずはいつも足しげく通ってくれている地元のシステム会社や地方銀行(地銀)に相談する傾向が強いということが浮かび上がってきました。
そこで地元企業との接点を増やすために取り組んだのが、地銀との連携です。
福岡営業所が先行して成果を上げた「地銀連携プロジェクト」を参考に、立ち上げ前から地銀と代理店販売契約の締結に動きました。そして、立ち上げ早々から行員の方々と一緒に顧客企業を地道に訪れ、デジタル化の啓蒙・提案活動を進めています。
地銀に寄せられる信頼が強力な後押しになりそうですね。
地銀の方々と連携し訪問することで、「お客様に信頼感を持って弊社のお話を聞いていただける」と、営業メンバーは口をそろえて言っています。そして、「毎月処理が大変だったけど、そんな解決策があったんだ」と、お客様の多くにデジタル化によるメリットに気づいていただき、導入後も継続してご利用いただいています。
地銀の皆さんの反応についてはいかがでしょうか。
本プロジェクトについて前向きに受け止めてくださっています。地銀の皆さんから「こういうお客様がいるので、商談にいきましょう」と言ってくださる機会が多く、潜在顧客へのアプローチを増やすことができています。
SaaS企業ではいち早く広島に拠点を構えたラクスの意気込みを買っていただき、「地元企業のためにともに頑張るパートナー」として認めてくださっているのだと感じています。

ラクスの基盤のもと、立ち上げフェーズならではの変化と成長
地銀との連携をはじめ、戦略的に事業を推進しながら「人と人のかかわり」を大切にし、地元企業の課題に寄り添う「人間味」のある営業スタイル。お話を伺い、そうした印象を抱きました。
まさにそうだと思います。
今後も「人」を軸としながら、地元企業のさまざまな課題の解決に寄り添い、より深く広くサポートしていくために、戦略のブラッシュアップや組織体制の強化・拡大を図っていきます。
立ち上げフェーズにおけるギアがさらに上がるタイミングだと。
そのとおりです。2025年2月には最大40名が働けるオフィスへ拡張移転を行い、さらなる組織拡大へ向かうための環境を整えています。
ラクスはSaaS業界大手へ成長し、大手上場企業として強固な基盤を築き上げていますが、それでいてベンチャーシップが色あせず、新たな挑戦に向かい続けています。
私個人の感覚では、大手企業の仲間入りを果たした今も、ラクスの大手企業らしさとベンチャー企業らしさの比率は7:3というちょうどいいバランスだと思っています。
なかでも広島営業所は、ベンチャーシップが強い?
そうです。立ち上げフェーズにある広島営業所は、ラクスの強固な財務基盤や事業基盤を活かしながら、成長と変化にチャレンジしている真っただ中にあります。
例えば現在、明確な分業制をあえて敷かず、メンバーそれぞれがマーケティングや代理店対応、商談化、商談、契約などをマルチに手がけていますが、今後、こうしたフローや組織体制についても、マーケットの状況やフェーズの変化に柔軟に順応させていきたいと考えています。

「この人と一緒に船に乗りたい」。そう思ってもらえる存在へ
そうしたフェーズにおいて、広島営業所の仲間に加わるメリットは?
事業の立ち上げ段階だからこそ、まずは役割を限定せず、柔軟にさまざまな業務をお任せしたいと考えています。幅広くマルチに活躍の場を広げることで、SaaSにおける営業・マーケティング全般の知識・スキルを身につけることができます。
いろんな役割の中で自分の可能性を試してみて、「ここをもっと突き詰めたい」というものが見つかれば、その分野の能力をとことん伸ばしていくというキャリアの描き方も可能です。
また、キャリアアップの面でも、大きなメリットがあります。
今後、組織拡大や取り扱い商材の拡充、フェーズに合った業務フローの構築などを進めていくなかで、組織・プロジェクトをけん引するリーダー・マネージャーが必要となり、商材別組織のマネージャー、あるいは機能別組織のリーダーなどに早期に抜擢されるチャンスがおおいにあり得ます。
新しい仲間に期待することは?
私は広島営業所のメンバーに対して、「お客様や代理店の皆さんをふくめ、デジタル化へ向けてみんなで同じ船に乗ろう」と伝えています。
中四国エリアのデジタル化普及は道半ば。ときには思惑がぶつかりあい、耳が痛いようなことを伝えあうこともあるでしょう。
同じ船に乗る仲間として、耳障りのいい言葉を並べるばかりではなく、言うべきことをしっかりとフィードバックし、改善を重ねていくことがとても大切。それこそが仲間に対する誠実さであり、船を前へ進めるためには必要なことだと思っています。
新しく加っていただく皆さんにも、自分さえよければと考えるのではなく、全体最適を考え、「この人と一緒に船を進めたい」と社内外から思ってもらえるような存在をめざしてほしいと期待しています。
「広島で働きたい」と、全国で手の挙がる組織をめざす
籾井さんにとって、改めて「立ち上げ」の魅力とは?
一生の仲間ができることだと思います。
私はラクス入社前にも事業立ち上げを複数経験しました。つい先日には、15年以上前に新規事業をともにけん引した仲間たちと久しぶりに集まり、同窓会を楽しみました。
立ち上げは決して簡単ではありません。壁にぶつかることも多く、そのたびに仲間と議論し、協力して乗り越えることが必要です。そうした過程を経るからこそ、絆が深まり、長くつきあいが続くのだと思っています。
ひるがえって広島営業所を見渡すと、一生の仲間になり得るような気持ちのいいメンバーが集まり、チーム全体で課題に向きあい、成長をめざす風土が育まれていると自負しています。
最後に、籾井さんなりの抱負をお聞かせください。
ラクス全国の拠点から「広島で成長したい!」と、広島への異動希望者が殺到する組織にしたいです。
単に実績を上げるだけではそうならないでしょうし、かといって、みんな仲良しで楽しいというだけでも敬遠されると思います。難しいところですが、例えば、丁寧に、戦略的に組織運営をしながら、行くときは行くというバランスのよい組織、そしてチャレンジする機会にあふれた組織。
中四国エリアにデジタル化を浸透させ、産業の活性化にひたむきに貢献していくことで、そうした「人を惹きつける組織」になればうれしいですね。
※所属・役職はインタビュー時点(2025年2月)のものです。