PROFILE
李 春幸
Fintechのスタートアップ企業やバックオフィス向けSaaS企業において、ARRが0→1億円→10億円→100億円へ拡大する各事業/プロダクトフェーズにおいて、事業・プロダクト戦略から4P全般のGo-to-Market、BizDev(事業開発)、出資・M&Aなどを含めたアライアンスの推進などに携わる。2022年10月にラクスに入社し、現在は楽楽クラウド事業本部 製品戦略統括部 製品戦略2部の部長として、『楽楽明細』や『楽楽電子保存』のプロダクト戦略全般と組織マネジメントに従事している。
ラクスは、合理性と誠実性のバランスが絶妙
李さんはSaaS企業で事業の立ち上げやグロース等を経験後、なぜラクスへ転職したのですか?
ラクスが謎多き集団だったからです(笑)。
私が勤務していたのは、多かれ少なかれラクスと競合する企業。競合の立場からラクスの動向を気にして見ていました。しかし、2022年当時のラクスは、どのような戦略や組織運営を行っているのか、いかにして驚異的な増収増益を実現しているのかといったことについて、ほとんど対外的な発信を行っていないように思いました。知りたい、でも調べても出てこない。そうしたジレンマが積み重なるにつれ、ラクスへの興味がどんどん助長されていったのです。
ラクスに転職すると、どんな日々が待ち受け、どんな挑戦ができるのだろう。ベールに包まれているからこそ、考えるだけでワクワクし、入社へと突き進んでいきました。
実際に入ってみて、謎は解けましたか?
圧倒的な成長を続けている要因の一つとしては、「合理性と誠実性のバランス」です。
どういうことでしょうか?
ラクスには目的・目標から逆算して施策を考え、実行するというゴールオリエンテッドの考え方が浸透しています。合理性と誠実性のバランスとは、このゴールオリエンテッドの観点から合理的に課題を分析し、なおかつその過程で関係先に対する誠実な配慮を忘れないということです。
例えば、戦略部門のメンバーがどんなに優れた戦略やロジックをつくり上げたとしても、開発側や営業/カスタマーサクセス側の意向・状況を考慮しないまま「この仕様に沿って製品をつくってくれたらいい」「この戦術のとおりに売ってくれたらいい」と、押し付けるだけでは、開発や営業の気持ちがないがしろにされ、思うように進まなくなるでしょう。
ラクスはそのバランスがいいと。
そうです。ラクスには、合理的に考えつつ、なおかつ関係各所ときちんと向き合い、合意を引き出すというプロセスが当たり前のようになじんでいます。この絶妙なバランスがラクスらしさであり、だから納得感をもって働けて、「もっとよくしよう」という気持ちが掻き立てられるのだろうと思います。
PMMは一人では完結せず、人に動いてもらう立場
PMMという領域では、なおさら合理性と誠実性のバランスが重要になりそうです。
おっしゃるとおりです。
PMM(プロダクトマーケティングマネージャー)は、ユーザー・マーケットの課題・ニーズを徹底的に分析してプロダクトの企画・設計を行い、開発チームとどう実装するのかを協議します。合わせてどう売るかという販売戦略にかかわり、実際に顧客との接点を担うセールスやカスタマーサクセスと連携して売れる仕組みをつくり上げていきます。
そうやってさまざま部署と誠実に向き合い、SaaSビジネス全体に幅広く関与し、売れる、選ばれるプロダクトをつくるのが、PMMの役割です。
誠実に向き合うべき関係先が多岐に渡るということですね。
それだけではありません。今お伝えしたようなさまざまな部署との連携をヨコの広がりとすると、PMMはタテの広がり、つまり事業の計画や決定権を持つ事業責任者とのかかわりも深い立場にあります。
例えば、製品企画の重要な一つであるプライシングを検討・決定する際には、なぜこの値段で売るのかという根拠を明確に示したうえで、事業責任者と喧々諤々の議論を行います。事業のトップ層と近い距離で、プロダクトの中長期戦略や重要な意思決定にかかわることができるのです。
ヨコとタテに広く大きく影響を及ぼす存在だと。
はい。活躍フィールドが広く、かつ高い視座で裁量を発揮できるという面で、PMMは非常にやりがいが大きく、事業・プロダクトの成長と自身の成長を強くリンクできます。
その一方で、PMMは自分一人では決して完結できない仕事です。製品をつくるのはエンジニアやデザイナー等の開発チームであり、発信するのはプロモーション担当、売るのは営業やカスタマーサクセスです。そうした関係各所にいかに納得感を強くもって動いてもらえるかがポイントになります。事業責任者とのやりとりにおいても、誠実な関係の上に活発な議論が成り立ちます。
そのため、合理性と誠実性のバランスがひと際重要になるのです。
PMM経験者はもちろん、未経験者も活躍できる環境
李さんが部長を務める製品戦略2部について教えてください。
楽楽シリーズの『楽楽明細』『楽楽電子保存』および『楽楽明細』の新しいオプション機能である入金管理について、PMM業務を担っています。
製品戦略2部のビジョンは、『楽楽明細』が圧倒的シェアNO.1になることに貢献すること。
加えて、次の柱となる『楽楽電子保存』と入金管理が単体プロダクトとして成長するための基盤を構築し、顧客へお届けすることです。このビジョン実現に向けて、「ユーザーニーズを捉えた、売れる、選ばれ続ける製品を創る」ことをミッションとしています。
組織面で特徴的なのは、経験者にも未経験者にも活躍チャンスが開かれている点です。
PMM経験者にとってのチャンスとは?
他ではなかなか得られない課題に挑めるチャンスがあるということです。
『楽楽明細』は、すでに帳票発行サービス市場の導入社数シェア・売上シェアで1位を獲得しています。(出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド帳票発行サービスの市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)における「売上シェア」、「導入社数シェア」第1位)
一方、2022年リリースの『楽楽電子保存』は1⇒10をめざすフェーズにあり、2023年リリースの入金管理は0⇒1のフェーズにあります。こうした規模・フェーズの異なるプロダクトの課題解決に挑めることは、経験者にとって魅力の一つとなるでしょう。
それだけではありません。ラクスでは現在、楽楽シリーズとしてマルチプロダクト戦略を構想し、製品戦略2部を含む製品戦略統括部にて、シリーズ全体の連携強化に向けた戦略づくりに挑んでいるところです。
各プロダクトが従来のベストオブブリードのよさを踏襲しつつ、どのようにしてシリーズによるメリットを高める戦略を創造できるか。難題であるからこそ、PMM経験者としては挑みがいがあり、「私ならやれる」と、意欲が掻き立てられる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
PMM未経験者にもチャンスがあるのですか?
十分にありますよ。ラクスには再現性を重視する風土があるからです。
一般的にスタートアップ企業は、数年間赤字が続き、その後に成長へシフトするという成長曲線、いわゆるJカーブを描くとされていますが、ラクスはその既定路線に当てはまらず、増収増益を続けてきました。その理由の一つに、再現性を追求してきたことが挙げられます。
属人的になるのではなく、誰もが成果を再現できる仕組みをつくってきたと。
そうです。勢いではなく、早くから再現性をもって事業運営を行い、利益体質をつくってきた会社だといえます。そうやって築き上げてきた強固な経営基盤のもと、PMMでは多種多様なフェーズのプロダクトの製品戦略や売れる仕組みづくりに挑み、PDCAを回し、「売れる、選ばれる製品づくり」の再現性を高めています。
そのため、PMM未経験で加わったとしても、再現性の高いノウハウを駆使でき、成果を上げやすい環境があります。早くからPMMとしての素地を固められ、やがて新たな仕組みづくりや新たなプロダクトの戦略を担えるくらいにスキルアップすることが可能です。
圧倒的な当事者意識が大きな成長に結実する
組織をけん引するうえで、李さんなりの考えはありますか?
「実力と実績と思いがあれば、何をやってもいいよ」と、メンバーには常々言っています。裏を返すと、思いだけでは駄目だということです。厳しい言い方かもしれませんが、例えば「新規事業をやりたいです!」と意気揚々と入社したとしても、実力と実績を伴わないうちには難しく、きちんと積み上げてから挑もうということです。
それから、全体最適の視点と当事者意識を持つことを大切にしています。先ほどお伝えしたように、PMMは自分たちだけでは成り立たず、開発、マーケティング、営業、カスタマーサクセスなど、さまざまな関係先に動いてもらって初めて、自分の立てた企画・戦略を実行することができます。
関係各所と連携・調整し、プロダクト全体に利益の最大化をもたらすためには、全体最適の視点が欠かせず、各所が直面する課題を自分事と考える当事者意識を併せ持つ必要があります。時には、例えば営業とカスタマーサクセスの間でこぼれ落ちたボール=課題を率先して拾い上げ、自らの課題として解決に尽力することもあります。
どんな新しい仲間をお迎えしたいですか?
ラクスでは4つのコンピテンシーを重視しています。思考力、行動力、人間関係力、組織推進力の4つです。PMMにおいてはいずれのコンピテンシーも活躍要因になりますが、企画・戦略を考え続ける職種なので、とりわけ思考力を求めたいところです。
何より歓迎するのは、「自分がやるんだ」という当事者意識です。主体的にボールを拾いに行き、世の中をもっとよくしたいという熱いパッションがある人は大歓迎です。そうした思いのある人なら、自ら動くことによって実力と実績を積み上げられ、やがて大きな裁量権をもって事業・プロダクトを動かす立場に立てることでしょう。
※所属・役職はインタビュー時点(2024年8月)のものです。