顧客ファーストを起点に、PMM主導で楽楽シリーズの連動性を高める

PROFILE

大平 竜也

2000年に人材サービス会社へ入社後、セールス・マーケティング領域にて顧客のBtoBセールス戦略立案~実行支援や、自社新規事業立上げを複数担当する。2019年にラクスへ入社。『楽楽精算』の製品企画部門の責任者として、顧客便益性の向上に向けた新機能・サービスの企画、売れる仕組みづくり、他企業とのアライアンスなどを担当。2024年4月より楽楽クラウド事業本部 製品戦略統括部部長 兼 製品戦略1部部長として従事している。

楽楽シリーズ全体にかかるPMM組織として統括部を発足

大平さんが2019年に入社したことを機に、『楽楽精算』の製品企画課が立ち上がり、大平さんは責任者を務められました。その経緯から振り返ってください。

『楽楽精算』では、長らくお客様の声を丁寧に吸収して機能に反映する、いわゆるマーケットインによる製品開発を積み上げてきました。お客様の顕在化したニーズや課題を中心に、業務上の痛みに手立てを講じ、広く支持を集めることができたプロダクトです。

もちろんこのスタンスは継承しながらも、今後のさらなる事業成長を見据えるなら、お客様がまだ気づいていない潜在的な課題にももっと目を向ける必要がある、そして、まだ世にない新しい価値を提供していかなければならないという考えがあったのです。

つまり、プロダクトアウトによる価値提供です。製品企画課は、その実現をめざすPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)の専任部署として発足しました。お客様の足元だけでなく、いわば0.5歩くらい先回りして課題の芽を摘み、製品開発~販促推進の仕組みづくりに挑み始めたということです。

その後、製品企画課は「部」へ昇格し、2024年4月には製品戦略統括部が発足されました。どんな背景で発足され、どんな役割を担う組織なのですか?

『楽楽精算』や『楽楽明細』などにも製品企画組織がありましたが、これまで以上に楽楽シリーズ横断での取り組みを強化することを目的に楽楽シリーズの製品戦略・企画を統括する部署として立ち上がりました。

ラクスでは各プロダクトにおいてベストオブブリード型の戦略を取っており、各業務領域において顧客ニーズを深く理解し、製品企画・開発を行い、柔軟にニーズに対応することで、顧客の状況に適したサービス提供ができています。これによって、各プロダクトが価値を高め、お客様に選ばれる製品へ進化してきたと自負しています。

しかしその反面、楽楽シリーズとしての連携・統一性という面ではばらつきが見られることも否めません。

楽楽シリーズでは、2023年10月からシリーズ統一のブランディングが始まり、TVCMやサービスサイトなどのプロモーション面に統一感を持たせることができています。一方で、今後、楽楽シリーズとして1社のお客様へ複数プロダクトの導入をいっそう推進し、お客様のバックオフィス業務の課題解決を広く支援していくうえでは、業務に携わる方々が相互に連携しやすいよう、UIの統一、システム連携などを進める必要があります。

そこで、各プロダクトの製品企画機能が相互に連携し、楽楽シリーズ全体の戦略統括を強化していくために、製品企画機能を集約した製品戦略統括部を立ち上げたのです。

タテで各プロダクトの価値向上を、ヨコで共通基盤の構築をめざす

製品戦略としてはベストオブブリード型のよさを踏襲しながら、シリーズ全体としてユーザビリティを高めるための施策が走り始めるのですね。

そうです。製品戦略統括部のミッションは、「ユーザーニーズを捉えた、売れる、選ばれ続ける製品を創る」。これは製品企画課の時代から変わらず掲げ続けているもので、今後も各プロダクトがベストオブブリード型を追求し、かつシリーズ全体で売れる、選ばれ続けるための施策を横ぐしで展開する、そんなイメージを描いています。

それをまとめたのが、下記の3つの方針です。

①売れやすく、選ばれ続ける製品を作っていくこと

②売れる仕組み作りと運用・改善をし続けること

➂楽楽シリーズの共通業務基盤を作っていくこと

製品戦略統括部の組織体制も、この方針に沿った編成になっているのですか?

発足まもない現在は、まだまだ発展途上の段階ですが、そう考えています。

楽楽シリーズでは、各プロダクトによってプロダクトライフサイクルのフェーズが異なります。例えばリリースから15年経つ『楽楽精算』は、市場状況などから成熟期を迎えつつあるといえます。一方、『楽楽請求』や『楽楽電子保存』などは導入期から成長期に移ろうとするタイミングです。

当然、フェーズの違いによって製品企画のアプローチも違ってきます。例えば『楽楽精算』では日本で最もご利用いただいているクラウド型経費精算システムで、このポジションを維持し続けるためにも “楽楽精算ならでは”の提供価値を追求していくこと。『楽楽請求』や『楽楽電子保存』では市場・顧客分析、機能実装、改善のサイクルスピードを高め、プロダクト価値を最速で上げつつ、売れる仕組みを確立することが求められます。また、上記に加え、業務領域に親和性のあるプロダクト間の連携も検討していく必要があります。

そのため、製品戦略統括部では業務領域に親和性のある製品別の組織編成をベースとしています。まずは私が部長を兼任する製品戦略1部で『楽楽精算』『楽楽請求』、2部では『楽楽明細』『楽楽電子保存』について、各フェーズ・課題に応じた戦略を立案・実行しています。他のプロダクトについても順次、製品企画機能を集約する予定です。

製品別のチームをタテ軸とするならば、ヨコ軸では楽楽シリーズの共通業務基盤を構築・運用・改善するチームを編成しています。まだ検討段階にあるものばかりですが、顧客課題を理解し、解像度を上げる仕組み、それらを踏まえて顧客が欲する機能を提供するための製品企画・開発のフロー、プロダクトロードマップの運用方法、注力製品の販売推進方法、さらにはPMMを担う人材を育成するイネーブルメントの仕組みなどの共通化を鋭意進めています。

上位組織のゴールから逆算し、自組織のやるべきことを明確化

PMM組織が強化され、重要性や期待がますます高まっているように感じます。

私自身、そう実感しています。PMMの役割とは、「誰に、どのような機能・サービスを、いつ、なぜ提供するのか」を考え、その上で拡販の仕組み自体を作り、支援することです。製品をたゆまずブラッシュアップし、顧客に価値を提供し続けるSasSサービスにとって、必要不可欠な役割であり、成長戦略そのものだと自負しています。

その役割を果たし、各プロダクトの成長を加速させながら、楽楽シリーズ全体として、プロダクトを横断してどのような価値を提供できるか。楽楽シリーズはもちろんですが、ラクス全体の成長戦略にも関わってくるため、統括部長の立場としてその重要性にやりがいを強く感じています。

そうした大平さんが組織をマネジメントするうえで意識していることは?

当然のことかもしれませんが、上位組織のミッション・ビジョン・ゴールを視野に入れ、その達成のために自組織ではどんな役割を担い、いつまでに何を成し遂げるのかを設定し、実践することです。最上位としてめざすは、「日本を代表する企業になる」というラクスのビジョンです。これを実現するために上位組織である楽楽クラウド事業本部の中期経営計画や各事業部の活動方針があり、それらをもとに自組織やメンバーの役割・業務へブレイクダウンするようにしています。

その際には、メンバーそれぞれの自主性を重んじています。メンバーに託す役割・業務について1~10まで細かく伝えるのではなく、めざすゴールと期待する成果を伝える程度に留め、具体的なパフォーマンス目標や取り組み内容については本人に考えてもらうようにしています。

自らの働きが自組織のゴール達成に直結し、それが事業本部の、さらにはラクス全体のゴールにつながるということが腑に落ちれば、おのずとやりがいをもって楽しく働けて、モチベーション高く業務に挑めると思います。もちろんそのための対話を惜しまず、私は課長やメンバーと日頃からコミュニケーションを取ってめざす姿を共有し、メンバーと直に1on1でやりとりすることもあります。

顧客ファーストを起点に、プロアクティブな挑戦ができる

製品戦略統括部のメンバーに共通する特徴はありますか?

それぞれ個性を持ったメンバーが集まっていますが、共通しているのは「顧客ファーストで物事を考え、顧客に価値を提供したい」という思いでしょうか。

メンバーの前職は、PMMやPdM(プロダクトマネージャー)だけでなく、商品企画、営業企画、営業、カスタマーサクセスなどさまざまですが、メンバーの多くが「顧客視点をもっと活かしたい」「顧客に向き合うことで課題解決したい」といった理由で新たなフィールドを模索し、ラクスを選んでくれています。

今後新しい仲間に期待したいのも、顧客ファーストだと。

はい、そこがブレることはないです。

もちろん顧客視点だけではビジネスは成り立たず、ラクスとして何をめざすのか、どう成長していくかという視点も大切です。そのバランスを取る必要がありますが、あくまでも顧客ファーストの考え方をベースに、製品戦略に挑戦していただきたいと思っています。

新しい組織で新しい施策に取り組むタイミングですから、「挑戦」という言葉がしっくりきますね。

楽楽シリーズの中にはPMM機能をまだ組織化できていないプロダクトもあり、組織の立ち上げから挑めるチャンスも十分にあります。シリーズ共通の取り組みについても、今は私と数人のメンバーで知恵を出し合い、方向性やルール、システムについて検討している段階ですから、新しい仲間にもアイデアをカタチにするチャンスが開かれています。

私がラクスに入社したのは5年前のこと。当時のラクスはいい意味で未完成で、自らの提案次第で新しい仕組みや機能・サービス、組織をつくれる面白さにあふれていました。見違えるほど大きく成長し、企業基盤が整った今も、根本のスタンスは変わっていません。

自分のやりたいことと組織・会社のゴールを結びつけ、プロアクティブな行動ができる方であれば、きっとラクスに合うと思います。


※所属・役職はインタビュー時点(2024年7月)のものです。

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