PROFILE
髙橋 篤史
大学卒業後、電機メーカー向けソフトウェアの提案営業に従事し、2021年4月に「楽楽販売」の営業担当としてラクスへ入社。セールスエンジニア(SE)と連携した新たな営業戦略を実現する基盤づくりに尽力し、現在はチームリーダーを務めている。
「SEとの連携が受注率UPにつながる」と仮説
髙橋さんは、2022年4月から東京と連携した「SEプロジェクト」を推進しています。どんなプロジェクトなのですか?
「楽楽販売」の商談において、東日本営業では技術的な側面から営業を支援するセールスエンジニア(SE)が営業と連携し、お客様に対して技術面のフォローを行っています。
一方、西日本ではこの連携が進んでおらず、お客様の技術的なご要望や不明点などについて、営業がほとんどすべてにお応えするというスタイルを続けていました。本来、西日本の営業からもSEを頼っていいはずなのに、西日本では営業とSEが連携した事例があまりなかったこともあって、どんな時に連携すればいいのか、どんなメリットがあるのかという理解が進んでいなかったからだと思います。
そこに新たな活路があると考え、西日本においても東京のSEとの連携体制を確立していく取り組みをスタートさせたのが、いわゆる「SEプロジェクト」です。
どんな活路があったのでしょうか。
前職のソフトウェア営業時代には、SEの方々に「この機能をこう活用すれば、ご要望に沿うことができます」といった技術的な知見にもとづいた説明をしてもらい、それがお客様に安心して導入・利用していただく強力な後押しになりました。
その流れを「楽楽販売」でもつくれる、むしろ必要だと考えたのです。
というのも、「楽楽販売」のお客様は業種業界も部署もさまざまで、お客様によって機能の使い方や設定要件などが異なります。商談の際には、そうした個別の活用方法やシステムに関する知識が求められるため、とりわけ知識の浅い新入社員は受注に苦戦していました。そうした課題も、技術面に強いSEと手を組むことで解消できるのではないかと。
上司にこうした考えを伝えているうちに、「よし、やってみよう!」と話が進み、まだ入社2年目だった私がプロジェクトの推進役を担うことになったのです。
ラクスらしいスピード感ですね。どのように進めていったのですか?
まずはゴールの設定からです。西日本の受注率を東日本と同水準に引き上げること。営業の技術的なフォローに要する負荷を軽減し、オンボーディング期間を短縮すること。おもにこの2つの実現をめざしました。
次に、西日本にはSEとの連携事例がほとんどないため、東日本の事例の収集・分析に着手しました。すると、SEに協力を依頼した案件では受注率が高く、お客様のトライアル期間にSEがフォローした際にはさらに明確に受注率が伸びていることがわかりました。
さまざまな切り口から事実や数値を分析すればするほど、「SEに連携を依頼すれば、受注率を改善できる」という仮説が成り立っていったのです。
仮説から「型」を導き、ポジティブな影響を広げた
しかし、仮説はあくまでも仮説。
はい、まさしく手探りの状況からのスタートだったので、まずはやってみることが重要だと考えました。そこで、私から西日本各拠点のマネージャーやメンバーに東京のSEへの依頼をうながし、東京のSEにも営業からの依頼に対する協力を仰ぎました。
そのようななかでも、プロジェクトのリーダーとして、営業・SEが無理なく実践できる道筋をつくらなければいけないと、最善のやり方を考え続ける日々。
実績がないわけですから、双方に連携のメリットを理解してもらうこと、足並みをそろえることにも難しさがありました。しかし、そこは結構泥くさく、コツコツと意図を伝え続けることで、「やってみよう」という声があがり始め、SEへの依頼が増えていきました。
その結果は?
施策を実践して2カ月、パフォーマンスが一気に上がったメンバーがいたんです。
早速、そのやり方をつぶさに分析。すると、商談のどのフェーズでSEがフォローすれば、お客様の不安が解消され、導入に結びつくのか、成功パターンが見えてきたのです。
それを次のアクションにつなげていったのですね。
誰もが再現できるように、営業とSEの連携のフローをモデル化しました。そして、西日本全体へ展開していきました。
そこから一気に受注率が高まり、東日本と同水準の受注率目標を達成するメンバーが続出していったのです。
髙橋さん自身も実際の案件でSEとの連携を実践したのですね。
もちろんです。自分が口火を切った施策なのですから、自分で成果をあげ、仮説を裏付けようと考えていました。
実は私も、前年まで受注が伸びず、オンボーディングに苦戦していたひとりだったのです。しかし、SEとの連携を率先して実践することで、SEプロジェクトの立ち上げ初年度には西日本全体で営業生産性1位を達成することができました。
私が実践した受注モデルや提案資料などを新人メンバーに展開することで、受注率が改善され、オンボーディング期間の短縮にも結びつき始めています。
お客様の希望する運用の仕方などについても、SEが「この機能を使えばできる」「これはシステム上難しい」と、技術面から明確な説明を行うことで、契約の前段階からお客様の「楽楽販売」に関する理解が進み、契約後のカスタマーサクセス(CS)による導入支援の立ち上がりの良さや、早期解約率の低下といった効果も見えてきました。
東京のSEとの”距離”も縮まりましたか?
そう感じています。
東京のSEが大阪に出張で来てくれた際には、西日本の事例ややり方を吸収し持ち帰ってくれましたし、西日本の営業メンバーが東京に「短期留学」のようなかたちでノウハウを学びに行くという取り組みも行っています。
これまで関わることが少なかった営業とSEの交流が生まれ、連携の基盤を築けたのではないかと思っています。
このプロジェクトを通して、髙橋さんが感じるやりがいとは?
純粋に、できなかったことができるようになるのは嬉しいですよね。
しかも、それが自分個人だけではなく、西日本全体へ、ラクス全体へ、そして何よりお客様へ、これまでになかった価値を生み出し、ポジティブな影響が広がっていく。
その過程そのものにやりがいがあり、自分の成長動機にもなって楽しいですね。
根拠のあるアクションを自ら推進できる風土
西日本営業はどんな組織だと感じていますか?
やりたいことを発信すれば、実現のチャンスを得られる、そうした文化がある組織だと思っています。
私はラクスに入社後、当たり前のように飛び交うSaaS業界特有の用語に苦戦した経験から、社内Wikiを企画してつくりました。他にも、個々のノウハウが詰まった営業日報を自由に閲覧できればお互いの参考になると考え、日報をデータベース化し、共有できる仕組みをつくりました。そうした動きが目に留まり、SEプロジェクトの担当に選んでもらえたのかもしれません。
やりたいことを叶えるためには、根拠と行動が求められます。これもラクスならではの文化です。私がSEプロジェクト立ち上げ時に東日本の事例・データを参考にしたように、社内の知見から学び、根拠のある行動につなげることが可能です。その進め方は個々の裁量に委ねられているので、とても動きやすいですね。
SEプロジェクトでいえば、ヨコのつながりも推進力になったのでは?
そう思います。西日本営業は拠点間の連携を取りやすく、商材ごとの垣根もありません。
どの拠点も各商材の営業チームがワンフロアに集まっていますので、「このお客様に一緒に提案に行こう」「こう提案するとお客様の反応がよかった」といったやりとりが日常的。複合的にお客様に貢献することが可能ですし、さまざまな商材・サービスの考え方やノウハウを吸収しながら、お客様への提案やフォローをブラッシュアップできます。
次の中期計画を担い、成長に貢献したい
SEプロジェクトの今後の展開は?
営業とSEの連携という新しい受注モデルをつくることができました。次に考えているのは、ずばり「営業活動の選択と集中」です。
今後、「楽楽販売」をさらに広げていくためには、誰もがよりいっそう円滑に提案・受注を進められる仕組みが必要だと思っています。その仕組みとして、営業の誰もがお客様への効果的な提案を迷いなく選択でき、提案に集中できることをめざします。
そうすれば、新人メンバーも早くから効果的に成果をあげられると考えています。
髙橋さん個人の抱負もぜひ教えてください。
ラクスでは現在、2026年3月期をターゲットとした5カ年計画が進行しています。その達成の力になることはもちろん、次の中期経営計画を担うポジション、つまりリーダーやマネージャーに就きたいと考えています。
SEプロジェクトを通して、思考力や推進力を磨くことができたと感じています。こうした自分の成長をチームや拠点、会社全体の発展に活かし、「次の中期計画を担うのは髙橋でしょ」「まずは髙橋に相談しよう」と言われるくらいの存在をめざします。