課題の真因を見抜き、構造化して解く。CSが支えるプロダクトの成長

PROFILE

小野田 真一

楽楽勤怠事業部 カスタマーサクセス部 部長

工業用副資材を扱う専門商社での営業・仕入先開拓、EC事業の企画・販売など、多様な業務を経験。2024年3月、ものづくりの領域からIT業界へ転身し、新しい挑戦を求めてラクスに入社。「楽楽勤怠」カスタマーサクセス(以下CS)組織で課長・副部長を務め、2025年4月より現職。

CSは、若いプロダクトを育てる起点

「楽楽勤怠」のCS部はどのような役割を担っている組織なのですか?

「楽楽勤怠」のCSは、お客さまが理想とする勤怠管理の姿を描くところから伴走し、その実現まで導く役割です。事業全体の拡大を視野に入れつつ、現在は「運用の定着」にフォーカスしています。

お客さまの課題は千差万別です。勤怠のルールや管理手法、承認フローは企業ごとに大きく異なりますし、導入のきっかけも「紙運用からの脱却」「法改正対応」「現場負担の軽減」などさまざまです。 だからこそ、単に機能設定を伴走するだけでは不十分です。お客さまの業務フローを丁寧に紐解き、本質的な課題を見極める“コンサルティング要素の強いCS”であることを大切にしています。ここに、勤怠CSならではの介在価値があります。

課題特定によって成果につながった事例は?

例えば、「導入済みのシステムが現場で十分に浸透していない」とのご相談をいただいたケースがありました。 CSメンバーが丹念にヒアリングを重ね、「定着しない真因」を探った結果、システムそのものの不備ではなく、不要な機能表示や複雑な計算設定による「使いづらさ」がボトルネックだと判明しました。そこで、CS主導でシンプルな画面設計や計算式の簡素化を提案・実行したところ、運用が全社レベルでスムーズに定着しました。

勤怠は給与計算と連動するため、ミスが許されない領域です。だからこそ、ほんの小さな「使いづらさ」が全社的な負荷やリスクにつながります。 制度・運用・現場を総合的に理解したうえで課題を紐解くことが成果につながる──これが勤怠CSの難しさであり、面白さでもあります。

「楽楽勤怠」は2024年にリブランディング。現在はそうした事例を積み上げている段階?

はい。リブランディングを経て、「楽楽勤怠」はまさにお客さまの声をもとに分析・整理しながら、製品・サービスをさらに磨いているフェーズにあります。

とりわけCSは、お客さまと最も多く接する立場として、サービスに対するリアルな評価や改善要望を日々いただく役割です。運用状況に基づく具体的なご意見をいち早く吸い上げ、CSが起点となって企画・開発へ働きかけ、改善を推進しています。 たとえば「勤怠実績のエクスポートに時間がかかる」というご指摘をいただいた際には、企画・開発の強力なサポートもあり、短期間で処理速度を改善できました。

こうした一つひとつの改善が新たな成功事例となり、結果として、より多くのお客さまがスムーズに運用できる環境が整ってきています。事例を積み重ねながらサービスを強くしていく──このサイクルこそ、今の「楽楽勤怠」らしさだと感じています。 自分の提案がプロダクトを前に進める実感を得やすいことも、このフェーズならではの醍醐味ですね。

「仕組み」を作ることで、人も組織も強くなる

「楽楽勤怠」は楽楽シリーズの中でも新しく、勤怠管理システム市場でもこれから事例を広げていくフェーズと伺います。そうしたプロダクト・組織だからこそ、やりがいも大きそうですね。

そのとおりです。今はまさに、走りながらトライ&エラーを重ねている最中で、想定外の出来事も日々起こります。 ただ、こうした試行錯誤こそが、お客さまを確実に成功へ導くための「仕組み」や「運用の型」をつくり上げていくプロセスでもあります。まさにその基盤を築いている真っ最中のチャレンジフェーズですね。

例えばどのような仕組みでしょうか?

先ほどの事例のように、システムが現場業務にフィットしていないと、人事・労務担当者の負担が増え、全社的な運用も進みません。 これをCSが毎回「個人の頑張り」や「その場しのぎの対応」で解決しようとすると、担当者ごとのバラつきが生まれ、担当が変わればまた問題が再発してしまいます。

そこで重要になるのが、属人化を排除し、仕組みとして解決することです。 導入支援フローの見直しや、マニュアルの動画化など、成功事例をもとに支援プロセスを標準化し、誰が担当しても一定の品質を担保できるよう整備しています。

ラクスが重視する「再現性」にも通じますね

私が入社してまず実感したのは、ラクスでは「全体最適」や「再現性」といった考え方が共通言語として根付いているということです。 メンバー間でも、個別の事象だけで終わらせず「その本質的な原因は何か」「どう仕組み化すれば再現性を高められるか」といった議論が日々交わされています。

こうした環境は、CSメンバーの成長にも大きく寄与しています。 お客さまの課題に向き合い、解決策が機能したら、そのプロセスを再現性のある形にまとめる。すると、同じ成果を出すために毎回ゼロから考えるコストは不要となり、空いたリソースを次の成長や変化のために投下できるようになります。 「今」にフォーカスすると地道な作業も多いですが、振り返った時に「要はこういうことか!」という汎用的な学びが見つかり、成長を実感するメンバーが増えています。 このプロセスを回し続けることが、組織の生産性を高め、継続的な成果につながると考えています。

ゴールを共有し、個々の「思考の型」を磨く

日々チャレンジが続く中で、乗り越える壁を感じる場面もありますか?

新しい領域に挑戦する中では、誰にでも迷う瞬間があります。 CS部では、そうした場面をしっかりフォローできるよう、オンボーディング時は先輩社員がマンツーマンで伴走しますし、独り立ち後も上席者が月1回の1on1で状況や方向性を確認しています。

フォローの際に大切にしているのは、「適切な制約を共有すること」です。 たとえば、真面目さゆえに完璧を求めて思考が停滞してしまう場合には、「時間の制約」を共有します。「この範囲内での最善が60点であれば、いったん前に進んでOK」と合意することで、壁の前で立ち止まりすぎないよう支援します。ほかにも「成果範囲」や「品質」など、状況に応じた制約を設けることで、安心してアクセルを踏めるようにしています。

メンバーとのコミュニケーションで意識していることは?

大きく2つあります。 一つは、問題の「真因」を一緒に探すことです。 実は私、「ラクをするための努力」が好きで(笑)、物事の構造さえ理解できれば、もっと簡単な進め方が見えてくると信じています。その感覚をメンバーとも共有しながら、「真因はどこにあるのか」「次はどうすればもっとラクに(効率的に)できるのか」と問いかけ、思考の型を身につける支援をしています。

もう一つは、「ゴールを題材に会話する」ことです。 ラクスが大切にする「ゴールオリエンテッド」の考え方にも通じますが、組織の目標とメンバー個人のキャリアを重ね合わせながら進むことを大切にしています。目標からズレた際には、プロセスをどう見直すかを一緒に検討します。その結果、自らPDCAを回して自走するメンバーが着実に増えてきました。

私自身、ラクスに入社してメンバーの成長を支援するマネジメントスタイルを学び、確かな手応えを感じています。これからもメンバーと共に仕組み・構造を磨き上げ、組織と事業を大きく育てていきたいですね。

キャリアパスは多彩。変化が成長を加速させる

CS部で描けるキャリアパスについて教えてください。

大きく3つの道があります。

1. 縦方向のステップアップ(マネジメント) 

リーダーやマネージャーへ進む道です。組織拡大フェーズのためマネージャー層のポストは増えており、小規模チームのマネジメントから早期に挑戦可能です。まずは自身の担当領域で再現性のある成果を出し、新人のオンボーディング支援ができるようになること。そこから数名規模のチームマネジメントへと進んでいくイメージです。

2. 専門性を深める(スペシャリスト) 

複雑な勤怠要件やカスタマイズ対応など、より高度な課題に向き合う道です。勤怠業務や製品仕様に精通し、難易度の高い案件で頼られる存在として活躍できます。

3. 横方向への領域拡大 

オンボーディングから運用定着(オンゴーイング)への支援領域の拡大や、アップセル・クロスセルの推進など、CSの中で役割を広げていくキャリアパスです。志向に応じて、複数領域にまたがって活躍することも可能です。

どんな方が、この環境を楽しみながら成長していけると思いますか?

「素直さ」と「論理性」を兼ね備えた方は、特に力を発揮しやすいと感じています。 「楽楽勤怠」のCSが向き合う課題は幅広く、インプットすべき情報も多岐にわたります。もちろんサポート体制は整えていますが、領域が広いからこそ、何事も吸収しようとする素直な姿勢と、複雑な課題を整理する論理的な思考が成長の鍵になります。

また、変化を前向きに楽しめる方にとっては、最高の環境です。 「楽楽勤怠」は組織自体が拡大フェーズにあり、プロダクトもリブランディング直後。事業・組織の両面が大きく動いています。未完成な部分も含めて楽しみ、「仕組み」を作っていくプロセスに一緒に挑戦していただける方をお待ちしています。

※所属・役職はインタビュー時点(2025年11月)のものです。

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