PROFILE
高橋 淳
東京開発統括部 楽楽明細開発3課 課長
大手独立系SIerで約20年ほど、主に業務系アプリケーションのスクラッチ開発案件を軸に従事。いわゆるウォーターフォールでの一連の工程を経験し、プログラマー・SE・プロジェクトマネージャ・EMへと経歴を重ねてきた。その後4年ほど、Vertical SaaSの会社へ出向し、システム統括者としていくつかのサービスのローンチを経験した際に、SaaS事業の面白さに気づいてしまい、2024年にラクスに入社。ラクスではその経験を活かし、楽楽明細プロダクトの開発チームのEMを務めている。
ラクスに入社を決めた理由、背景等を教えてください。
国内SaaS企業の中でも売上実績がトップクラスで、今後もさらなる成長が見込まれる将来性の高さに惹かれ、どうせなら国内有数のプロダクトに携わってみたいと思ったことが、入社を決めた一番の理由です。
バックオフィスの効率化という事業領域は、SIer時代に培った自身の経験とも親和性が高く、入社後の貢献イメージも明確に描けました。さらにワークライフバランスや社員の成長を会社全体で大切にしている姿勢、面接官や採用担当の方々の温かい人柄にも触れ、ここなら安心して長く働けそうだと自然と思えるようになり、気づけば入社を決めていました。
自組織の業務内容と役割を教えてください。
「楽楽明細」の業務領域を入金管理分野へと拡大した、「入金管理オプション」というサービスを開発するチームをマネジメントしています。企業における入金管理業務は、ミスや属人化によるリスクが高く、業務効率化・標準化のニーズが強い領域です。こうした背景を踏まえ、当社としてもこの領域に新たな価値を提供すべく、プロダクト開発に取り組んでいます。
現在は、プロダクトマーケットフィット(PMF)の達成を目指す重要なフェーズにあり、企画担当者やプロダクトマネージャーと密に連携しながら、お客様の業務課題を掘り下げ、真に求められる機能を見極め、優先度の高い機能から着実に開発・リリースを進め、プロダクトとしての完成度を高めていくことをミッションに活動しています。
チームの日々の業務の流れを教えてください。
現在は、プロダクトマーケットフィット(PMF)を促進するための機能充実が重要なフェーズなので、チーム全体が次期バージョンでリリースする機能開発をメインで進めています。開発プロセスは、要件定義からUI設計まではウォーターフォール的に進め、それ以降は、1週間単位のスプリントで、開始時にプランニングを行いながら、タスクを細分化して進行しています。
リリースのタイミングは、おおよそ四半期ごとを基本とし、大規模な機能の場合は半年程度になることもあります。開発チーム内では、毎日夕方に進捗や課題の共有を行い、必要に応じてアドホックに課題解決の議論を行っています。また、企画担当者やカスタマーサクセスメンバーとは週次で定例ミーティングを設け、密な連携を図っています。
進行状況によって異なりますが、上流工程ではPdMやデザイナーと日々仕様を詰め、下流工程ではPdMと相談しながら具体的な仕様調整や課題解決を進め、リリース時にはインフラチームと協同する等、他チームとも協力しながら進行しています。
開発チームは事業にどのようにかかわっているのですか?
SaaS事業の成長において、開発部門は単なる機能の実装担当ではなく、事業価値の創出に直接貢献する主体的な存在であるべきだと考えています。
言われたことをそのままこなすのではなく、プロダクトに込める意図や背景にまで深く踏み込むことで、常に「それは誰のどんな課題を解決するのか」「本当にこの仕様が最適なのか」といった本質的な価値を問い直す姿勢を大切にしており、それが結果として、より良い提案やアウトプットに繋がっていきます。
また、プロダクト開発は開発部門だけで完結するものではなく、企画・営業・カスタマーサクセスといった事業側のメンバーとの密な協働が不可欠です。部門・役割を超えた健全な対話やコミュニケーションを通して、事業発展に必要なシステム改善や技術的な対策を提起したり、また、ユーザー体験や市場の動向といった観点にも視野を広げて知見を高めることで、迅速で精度の高い意思決定が可能になり、より価値あるプロダクトが生まれていきます。
チームで活躍するために、どんな価値観やスタンスが必要ですか?
ここ数年で、エンジニアに求められる資質も多岐にわたってきていますので、一概には言えませんが、以下のいずれかに当てはまる方は、活躍できると考えています。
1. 本質志向で課題解決に向き合える人
How(どう作るか)だけに執着せず、Why(なぜ作るか) を大事にして、目的や顧客課題の本質を探求できる人。
2. 当事者意識のある自律的な人
自ら課題を発見し、チームや関係者を巻き込んで解決に導ける行動力を持った人。
3. 他職種との協働・対話に積極的な人
プロダクト開発がチーム戦だと理解し、自分の専門領域に閉じずに横断的な課題提起・改善ができる人。
4. 技術視点・事業視点・顧客視点のバランスが取れる人
多角的な思考・視座を持ち、最適な対応を選択して事業に寄与できる人。
5. 継続的改善と学習に意欲のある人
既存のやり方に固執せず、ベストプラクティスや新しい技術を取り入れ、変化が出来る人、それを楽しめる人。

チームの雰囲気を教えてください。
今の体制は8名のメンバーで、20〜40代と年次もバラバラというチームです。
前向きで技術好きないし事業好きなメンバー達なので、「最近のこんな技術が…」「他社の事例だけど…」「このサービスの方向性は…」みたいな会話も良く出てきており、課題提起や情報共有等はかなり活発です。日次の夕会もそのような会話で、いつも会議時間を超過してしまうちょっと困った状況もありますが。
チームでは、どんなやりがいを感じられますか?
まさにPMFというフェーズを楽しめる点だと思います。
この開発チームでは、ただ「作る」のではなく、「なぜ作るのか」「誰の課題を解決するのか」といった本質に向き合いながら、プロダクトの価値を自ら考え、形にしていくことができます。事業側メンバーと連携し、PdMとともに設計・開発・リリースまでを一体となって進めるため、自分の成果がユーザーや事業の成長に直結している実感を得られるのが大きなやりがいです。
また、PMFを目指す試行錯誤のフェーズだからこそ、変化を楽しみながら学び、成長できる環境があります。当事者としてプロダクトと事業の未来を創っていくことを楽しめる方には、これ以上ないフィールドが広がっています。
高橋さん自身がチーム運営で重視していることはありますか?
一言で言えば、「バランス」です。
プロダクト開発チームにおける自分の役割は、チーム力を最大化することにあります。そのためには、技術的な観点にとどまらず、ユーザー視点や事業視点を併せ持ち、プロダクトの価値を最大化していく視点が不可欠です。
実際、開発チームのマネジメントは正直多岐にわたってきます。
事業観点だと、機能開発におけるQCD 及び 事業展開を踏まえたシステムの柔軟性・拡張性等。
チーム観点だと、メンバーが活動していく際の支障の排除やキャリアアップの支援や場の提供。
プロセス観点だと、体制の整備・持続性の確保や、他チームも含めた開発プロセスの全体最適。
技術観点だと、市場動向や技術トレンドの収集とチームで取り組む施策の策定や推進
など、目を配ることがたくさんです。
その為、多様な視点を持って、優先順位を見極めて柔軟に意思決定していくことに注力しています。そして何より、すべてを一人で抱えることなんて出来ないので、想いやビジョンをチームで共有しながら、同じ方向に向かって進んでいけるようなチーム作りと心理的安全性の高い環境づくりを心がけています。
最後に、チームが目指す姿を教えてください。
以下のような状態を目指し、チーム一丸となって取り組んでいきたいと思っています。
この状態に至るには、まだまだ課題もたくさんあり改善や洗練していきたいことがたくさんあります。逆に言えば、チームとしても成長段階にありますので、このような状態を目指して、一緒になって改善に取り組んでいきたいです。
マインド
1. 開発に閉じず、サービス全体の価値最大化を考えることができている
2. 現状維持を良しとせず、常に改善を模索できている
3. 顧客へ価値を届けるまでの時間を最短化することを意識できている
顧客志向・業務理解
4. 顧客の業務フローや課題を理解できている/理解できる仕組みがある
5. 顧客体験・使い心地を向上する取り組みができている
6. 「本当に使える」「役に立つ」機能を選定できている
事業志向・戦略理解
7. サービスのコンセプト・将来の方向性について全員の認識がそろっている
8. 事業の方向性や戦略を理解し必要な開発施策を提起・推進できている
9. 市場や他社製品の動向・施策収集 及び 社内展開の仕組みができている
継続的な改善
10. サービス利用者からのフィードバックを取り入れて改善ができている
11. 改善施策をチームで定期的に協議し、実行に移せている
12. 現状からの変化を許容し、よりよいやり方・環境へ適合できている
スピードと生産性
13. あるべき姿とのギャップや滞留箇所が特定されている
14. スピードUPに向けたプロセス・ツール・ナレッジの蓄積・改善が進んでいる
15. 定量観測が可能であり、施策への評価やPDCAが回せるようになっている
技術的なトライ・洗練
16. 新たな技術や手法のチャレンジを楽しめるチームとなっている
17. 社内外の事例を収集・共有して、さらなる改善へと活用できている
18. 技術的な裁量や決定権を保有し、柔軟な技術選定が行えている
全体最適と関係構築
19. チーム外とのコミュニケーションを積極的に行うことができている
20. 各チームの役割が明確で、コンパクトな意思決定ができている
21. チームを跨いで、同じイシューに向き合えている