PROFILE
楽楽明細 開発2課/楽楽明細 開発3課/楽楽販売 開発2課/楽楽自動応対 AI開発課/フロントエンド開発課/プロダクトデザイン1課/プロダクトデザイン2課/QA課
本記事では、開発本部の管理職8名へのインタビューを通じ、ラクスがいかにして「顧客志向」を仕組みとして定着させているのかを紐解きます。
前半では、私たちが顧客志向を重視する背景にあるミッションや各現場の声、そして現場で動き出している3つの具体的な仕組み化のアプローチを解説し、後半では、これからの開発組織がさらに顧客志向を強化するために掲げた4つの重点強化領域について、具体的な取り組みを紹介します。
なぜ「顧客志向」を重視するのか?
顧客志向は、ビジネスや事業の大前提です。
当社は創業当初から「顧客志向」を徹底して大切にし、開発本部としては「顧客をカスタマーサクセスに導く圧倒的に使いやすいSaaSを創り提供する」というミッションを掲げ、「顧客志向」での開発に取り組み続けてきました。
結果としてプロダクトが顧客に支持され、国内SaaS市場でARR No.1を達成することもできました。今後も顧客に選ばれ続けるプロダクト開発をするため、当社開発本部は「顧客志向」を徹底し大切にしていく事が重要と考えています。
開発本部が重点取り組みとして進めている「顧客志向の強化」。その浸透と実践を現場でリードするのは、各管理職の役割でもあります。
今回は、日々の業務で「顧客志向の強化」を推進する管理職8名に、重要性/実践と変化/今後について伺いました。
インタビューにご協力いただいた管理職はこちらの方々です。
1.楽楽明細 開発2課
2.楽楽明細 開発3課
3.楽楽販売 開発2課
4.楽楽自動応対 AI開発課
5.フロントエンド開発課
6.プロダクトデザイン1課
7.プロダクトデザイン2課
8.QA課
インタビューに応じた8名の管理職が共通して口にしたのは、「技術(How)はあくまで手段。価値(What)を生むには深い顧客理解が不可欠である」という強い意志でした。
「プロダクトは使ってくれる人がいて初めて成立する。使い続けてもらうプロダクトを作るには、顧客理解が当然必要。」(楽楽販売 開発2課)
「デザインとは課題解決であり、質の高い解決策の提案には深い顧客理解が必須。」(プロダクトデザイン2課)
品質判断を事業価値に直結させるには、『お客様が困らないか』『お客様にとって価値や満足が損なわれないか』を判断基準にする必要がある(QA課)
エンジニアリングやデザインの力を、単なる「実装」に留めるのではなく「事業価値」へ昇華させる。そのための土台として「顧客志向」を捉えています。
「顧客志向」で取り組むために何をしているのか?
「顧客志向」という言葉は、多くの企業で掲げられながらも、実態が伴わずに形骸化してしまいがちなテーマです。しかし、ラクス開発本部ではこれを単なるスローガンに留めず、現場の「仕組み」として落とし込み、自律的な組織文化へと昇華させる取り組みを推進しています。
1. 日々のレビュー・判断を“顧客視点”で行う
日々の開発業務における判断基準を、実装の可否から「顧客への影響」へとシフトさせています。
具体的に以下のように取り組みました。
背景の徹底確認:
営業やCSからの依頼に対し、額面通りに受け取るのではなく「顧客は本当は何に困っていて、何を解決したいのか」という背景を深掘りし、必要なら代替案や併せてやるべきことも提案し、開発に活かしている。
結果として、単発の作業対応が顧客課題解決に変わり、チーム内の議論と、より良い解決策へ向けた提案が増加している。(楽楽販売 開発2課)
言語化の習慣:
案件立ち上げ時に、担当者が「なぜやるのか」「どんな価値があるのか」を口頭で説明できるようにし、GitHub Projectsにも狙いを記載している。
結果として、顧客課題と提供価値の理解が高まっただけでなく、説明・記述を通じて要点を簡潔に伝える力が向上している。(フロントエンド開発課)
顧客影響による優先度判断:
日々のレビューで「顧客影響」を軸に差し戻し・是正を行い、意思決定を促している。
結果として「開発/CSがそう言ったから」という他部署依存が9割だった状態から、約5割のケースにおいて「やることでお客様にどんな価値を提供できるのか、やらないことでお客様にどんな不利益があるのか」を自分の言葉で説明できるように改善してきた。(QA課)
2.関連情報を可視化・共有し、理解度と方向性を合わせる
「現場が何を見ているか」という情報の非対称性を解消し、チーム全体の視座を引き上げています。
3C視点の情報を可視化し共有:
顧客の声を数値化し、競合情報や事業数字とセットで可視化。開発メンバーが自ら情報を取りに行き、納得感を持って優先順位を判断できる環境を構築。
結果として、「ジャストアイデア」が減少した。「なぜやるか」を根拠で語れるため、チームのベクトルが揃い、納得度とスピードが高まっている。(楽楽明細 開発3課)
ドメイン知識のボトムアップ:
業界ニュースや競合動向をポータルサイトに集約。ベトナム拠点向けにも、業界動向/ニーズ/競合/改善の考え方などを伝える勉強会を実施し、組織全体の感度を高めている。
結果として、全体として基礎知識が底上げされ、製品を取り巻く状況への感度や視座が上がっていると感じている。(楽楽明細 開発2課)
3. 顧客や一次情報に直接触れ、上流から案件を主導する
「作る」段階から参加するのではなく、課題を「定義する」段階からエンジニアやデザイナーが介入しています。
ヒアリングへの積極参加:
開発メンバーが顧客ヒアリングに同席。顧客要望や事業要求を鵜呑みにせず、プロダクトビジョンと照らし合わせて価値を問い直す姿勢が定着。
結果として、「言われたから作る」から、メンバー発で顧客価値を問い直す姿勢になってきている。具体的には、やる/やらない理由の言語化や代替案まで出せるようになってきている。(楽楽自動応対 AI開発課)
商談動画の視聴とUXリサーチ:
実際の商談動画を視聴し、そこで得られた気づきをチームで共有した。また、UXリサーチのフレームワークを学習し、実際のユーザーヒアリングの場で取り入れている。
結果として、顧客インタビュー/ビジョン策定に踏み込むようになり、UIづくり→体験設計へ視座が上がり、思考や言動もシフトし始めた。(プロダクトデザイン2課)
上流からデザイン案件を主導:
デザイナーが上流ミーティングに参加し、デザイン案件(UI統一/UX改善)デザイナーが要件定義をリードしている
結果として、AIを活用することで、より現実に近い状態のモックを作成できるようになり、これまで事前には気づけなかった点を把握できるようになったほか、関係者への共有もしやすくなった。また、「顧客のためになっているか」という視座と指摘が増えて、アウトプットの顧客価値適合に対して敏感になった発言が高まっている。(プロダクトデザイン1課)
管理職たちが考えている今後の強化取り組み
これからの開発組織は、技術力を「価値」に変換するため、以下の4つの領域を重点的に強化していきます。
1.一次情報への接点を増やし、上流に入る
2.課題を自ら定義し、設計・提案する
3.高速でリリース/検証/改善できる体制を確立する
4.そのために必要な学習やインプット、実践や体制づくりを継続する
各現場では、それぞれの領域で以下のような具体的な取り組みが始まっています。
1. 一次情報への接点を増やし、上流に入る
顧客の生の熱量や事業背景を直接取り込み、判断の解像度を上げる取り組みです。
・顧客ヒアリング・深掘りの継続: 顧客の声を聞き、表面的な要望の裏にある真の課題を特定する。
・上流工程への関与: 開発フェーズだけでなく、要件定義や企画などの上流から積極的に入り込む。
・顧客の生声収集ワークショップの実施: 顧客から直接一次情報を集める場を設ける。
2. 課題を自ら定義し、設計・提案する
・「何を作るか」へのコミット: 提示された仕様を作るだけでなく、プロダクトが提供すべき価値そのものに責任を持つ。
・複数案(A/B/C案)の提案: 1つの案に固執せず、複数の選択肢を比較検討して提示する。
・案件の言語化: 「なぜやるのか」「どんな価値があるのか」を自らの言葉で定義・説明する。
・顧客課題前提の設計: 技術仕様から書き始めるのではなく、常に「顧客の課題解決」を起点とした概要設計書を作成する。
3. 高速でリリース/検証/改善できる体制を確立する
・検証・フィードバックループの短縮: 顧客に近い距離で検証を行い、得られたフィードバックを即座に開発へ反映させる。
・スプリント内デモとFBプロセスの導入: 開発サイクルの中に評価の場を組み込み、価値提供を迅速化する。
・「小さな改善」を回す仕組み: 大規模なリリースを待たず、細かい価値提供を高速に継続できるフローを確立する。
4. そのために必要な学習やインプット、実践や体制づくりを継続する
・3Cダッシュボードの運用・精緻化: 顧客・競合・自社の情報を整理し、常に最新の市場状況に基づいて判断できる環境を維持する。
・勉強会・ワークショップの定例化: 日本・ベトナム拠点を含め、継続的に知識をインプットし、ナレッジを共有する。
・システム・事業・全体理解の強化: 技術スタックに閉じず、ビジネスモデルやシステム全体の構造を深く学習する。
おわりに
今回、管理職8名へのインタビューで明らかになったのは「技術(How)を価値(What)につなぐには、深い顧客理解が不可欠だ」ということ。
そして「誰の/何の課題を/どう解くのか」を可視化・共通認識化し、仮説から検証・改善までのサイクルを回し、さらに磨き込んでいく。
この一連こそが「顧客志向の開発」の実践であるということです。
“言われたとおりに作る”から、“顧客の課題と価値を理解し、検証して磨き込む”ことへのシフト。
技術を価値に変え、プロダクトの価値向上と事業の成長を牽引する。そんな開発組織を、私たちはこれからも追求し続けます。





















































































































































