INTERVIEW ラクスの原点であるサービスを再点検し、改善によって圧倒的なトップを目指す

ラクスクラウド事業本部 メールディーラー事業統括部 事業統括部長

中村 幸司

PROFILE

大学卒業後、機械メーカーでプラント営業を担当。その後ソフトウェアハウスに転職し、大手向けERPパッケージの法人営業を担当。2011年にラクスに入社し、西日本における営業組織を新たに立ち上げる。大阪、名古屋、福岡、広島に拠点を持つ西日本営業統括部長を務め、2023年3月から現職。

15年連続売上高シェアNO.1。しかし、決して甘んじてはいけない

メールディーラー事業統括部は、15年連続売上高シェアNO.1※を誇るメール共有管理システム『メールディーラー』を手掛け、企画・マーケティング、営業、カスタマーサクセス(以下、CS)などの機能を統括している事業部です。

ラクスが創業したのは2000年で、『メールディーラー』がローンチされたのはその翌年の2001年。現在のラクスは楽楽シリーズをはじめ数々の業務効率化クラウド製品を展開していますが、『メールディーラー』はその先駆けとして誕生しました。サービスを提供しながらユーザーの課題に手を差し伸べ、それらを製品改善や機能開発に反映し、PDCAを回すというラクスの原点となる戦略を切り拓いてきたサービスでもあるのです。

売上高シェアNO.1を獲得してきた背景の一つには、そもそもサービス開始時にはメール共有管理システム分野がまだまだ未成熟だったこともあり、競合が少なく、シェアを獲得しやすかったことが挙げられます。ちょうど日本においてEC市場が急速に拡大する過程とも重なり、ユーザーからのメール対応に腐心するEC運営企業の課題を解決するツールとして支持を集めたということもあります。

しかし、そのポジションに甘んじているようでは、成長は鈍ってしまいます。これからもラクスのフロントオフィス系SaaSを代表するサービスとして成長・拡大を続けるためには、「再点検」が必要です。ローンチから20年以上経った現在も、ユーザー・マーケットの変化に応じて柔軟にブラッシュアップを重ね、価値をつくり続けることが重要であると考えています。

※ITR「ITR Market View:メール/Web/SNSマーケティング市場2024」メール処理市場:ベンダー別売上金額推移およびシェア(2009~2023年度予測)

あらゆる視点で課題を洗い出し、付加価値を高め、次なる投資へ

現在、メールディーラー事業が掲げているミッションは、「メール業務のペインを解消し、企業の成長に寄与する」こと。ビジョンは「メール共有管理システムの付加価値を再点検し、高単価へのシフトを行い、次の投資を可能にする」としています。

『メールディーラー』は、EC事業者を中心に、おもにBtoCサービスを手がける企業に向けて、メールによるユーザー対応業務の効率化を支援してきました。ここ数年でBtoC企業のユーザー対応業務には、メールに留まらず、LINE、Chatwork、Slack、Teamsなど、さまざまなコミュニケーションツールが活用されています。そうしたユーザーの変化に応じて、『メールディーラー』ではメール以外のコミュニケーションツールとの連携機能を強化し、ユーザー対応を一括管理するという付加価値をさらに高めようとしています。

また、これまでは実際にユーザーとメールをやりとりする実務担当者の業務効率化に重きを置き、機能のブラッシュアップを重ねてきました。しかし、改めて企業が抱える課題に目を向ければ、実務担当者のみならず、その上位層としてマネジメントを担う管理者の方々の間にも「クレーム対応の管理に労力を割かれる」といったペインが存在することに気づかされます。現在はそうした課題を含め、企業に内在するあらゆる課題を洗い出し、『メールディーラー』の機能拡充を進めています。

加えて、近年の新たな動きとして挙げられるのは、BtoB企業の利用拡大です。BtoB企業においても顧客とメールでやりとりする頻度は高く、メール対応が煩雑になりかねないという課題はtoCもtoBも同様にあります。むしろtoBの場合、日本では他のコミュニケーションツールよりもメールを活用する商習慣が強く、メールディーラーとの親和性が高いと見ています。そこで、BtoB企業の利用も見据えた製品機能の改善や営業戦略を強化し、この数年でBtoB企業の利用拡大が実を結び始めています。

こうした「再点検」を通して製品の付加価値を高め、高単価へのシフトを行うことによって、SaaSの重要な指針であるLTV(Life Time Value/顧客生涯価値)をいっそう高めることが可能になります。それによって生まれた利益を人材育成や製品開発、プロモーションなど、次の投資へ振り分け、事業のさらなる成長・拡大に結びつけていく。そうした構想を描き、取り組みを着実に進めているのです。

「ちょこちょこ改善」を重ねることが、やがて大きな実を結ぶ

私がメールディーラー事業の事業統括部長に就任したのは、2023年3月。それ以前から、『メールディーラー』に対しては、企業が抱える課題に寄り添った設計がなされ、使い勝手がよく、非常に優れた製品だという印象を抱いていました。ローンチから20数年経ち、成長率は落ち着いているものの、製品力が高く、やりようによってさらにシェア・売上を伸ばせる。そう意気込んで現職に就任したことを覚えています。

メール共有管理システムの付加価値を再点検し、小さな試みから始め、検証と改善を重ねていくことが、やがて大きな成果に結びつくと考えています。これは、ラクスのリーダーシッププリンシプルにある「小さく試して大きく育てる」という考え方であり、私のマネジメントスタイルの根幹をなしています。「失敗を許容する」というプリンシプルとも両輪であり、失敗も好材料にして検証と改善を重ねています。

「他者の考えを受け入れる」ことも重要視しています。メールディーラー事業統括部は、全体で50名ほどのコンパクトな組織に企画・マーケティング、営業、CSなどの機能が結集しています。そのため、互いの距離が近く、機能の垣根を越えて知見・ノウハウを活発に吸収し合いながら、新たな視点からの改善や戦術を前へ進めています。

私自身、各機能のつなぎ役としてオープンな姿勢で組織運営にあたり、メンバーが自由に意見を言える心理的安全性を高めるように努めています。メンバーそれぞれが発する意見・考えを尊重し、時には自由に発信できるように背中を押す。自分ではそんな接し方ができているかなと思います。

事業全体の戦略に視野を広げられ、自己成長を目指せる環境

メールディーラー事業統括部には、成長意欲が高く、チームワークへの意識が強いメンバーが集まってくれています。

なかでも頼もしく成長しているのは、ゴールを明確に設定し、それに向かってやり切るというマインドが強い人。これは私が採用段階から重要視していることであり、将来どうありたいか、何をやりたいかという思いが強い人にぜひ仲間入りしてほしいと常々考えています。

当部門のメンバー層はいわゆる第二新卒として加わった若手社員が中心で、自分自身のこれまでのキャリアを振り返ったうえでの危機感をむしろ原動力にしているメンバーが多いように思います。

現メンバーたちのように、キャリアを選択する際に重視する価値観、いわゆるキャリア・アンカーが自己成長やチームワークであれば、当部門にフィットしやすいでしょう。

私がラクスに入社した2011年当時、ラクスの売上は19億円でした。そのとき、中村社長は「10年で売上120億円にする」と明言していて、2020年度にはそれを上回る売上153億円を成し遂げました。現在は売上600億円達成をめざす経営計画の過程にあり、実現の手応えがあります。こうした成長の変遷を見てきた私が実感しているのは、ラクスは「将来を信じられる会社」だということです。

なかでもメールディーラー事業統括部はコンパクトな組織に多機能が集まっているので、企画だけ、営業だけ、CSだけ、ではなく、それぞれ連携し、関わり合うことで、事業全体に視野・スキルを広げることができます。将来を信じ、自己成長に真っ直ぐに挑める環境があると自負しています。

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