向いている方向は一つ —— 越境しあう組織で「統合型ベストオブブリード」への進化を目指す

PROFILE

矢成 行雄

執行役員 兼 開発本部副本部長 / 第二開発統括部 統括部長

前職SIerでの10年以上の経験を経て、2011年にラクス入社。メールディーラーの開発責任者を経て、2020年より開発部長。その間、新サービス(店舗予約サービス、チャットディーラー)立ち上げ推進や、オフショア開発チームの立ち上げ支援等、多様な役割を果たしてきた。 2023年より第二開発統括部統括部長。2026年より執行役員 兼 開発本部副本部長に就任。

「向いている方向は一つです」。矢成行雄さんは、大きく多様な組織をその一言で束ねます。顧客への深い解像度を共通の軸に置くとき、拠点や領域の壁は低くなり、AIとの協働も自然に広がっていく。越境しあう組織への道筋を語っていただきました。

――  ラクスへの入社を決めた理由を教えてください

前職は中規模のSIerで、受託開発や客先常駐の仕事をしていました。そこでは動かせる要員も技術要件も縛りがあって、なかなか自由に動けませんでした。それに、納品したら終わりというスタイルがずっと引っかかっていました。自分が作ったものがその後どう使われているか、本当に役に立っているのかといった実感が持ちにくかったんです。もっと裁量を持って、自分の仕事の先につながるやりがいが欲しいと感じて、転職を決意しました。

当時のラクスはまだ全社員150人足らずの規模でしたが、クラウドサービス(当時はASPと呼ぶことが多かった)を複数立ち上げて、多数の顧客をすでに抱えており、非常に魅力的に映りました。ちょうど新領域をターゲットにした新サービスの立ち上げが複数スタートするタイミングでもあって、そこにゼロから関わってチャレンジできるという環境が決め手でした。

――  担当組織の業務内容と役割を教えてください

私が統括する第二開発統括部は、非常に多岐にわたるミッションを担っています。拠点は大阪と東京の両方にチームがあり、プロダクトも楽楽自動応対・楽楽メールマーケティングといったフロントオフィス系から、楽楽販売・楽楽請求といったバックオフィス系まで幅広くあります。さらに新サービスの立ち上げをミッションとする組織や、フロントエンド領域の開発・基盤構築に特化した組織も抱えています。

ベトナムの開発子会社との関係も、この組織の大きな特徴の一つです。単なるオフショア開発の発注・受注という関係ではなく、同じゴールを共有したパートナーとして緊密に連携しています。こうした多様な組織を束ねる軸となっているのが、開発本部のミッション「顧客の成長を支援する、圧倒的に使いやすいクラウドサービスを創り提供する」です。どんなに組織が多様化しても、向いている方向は一つです。その共通のミッションがあるからこそ、組織全体がひとつのチームとして動けると思っています。

――  チームではAIをどのように活用していますか?

AIの活用は、まず実装から始まりました。コーディング支援ツールが広がるにつれて、エンジニアがAIを日常的に使う習慣が組織に根づいていきました。そこから設計・テストといった周辺領域へ、さらには運用や顧客対応など開発以外の業務へと、使われる場面がどんどん広がっています。今ではAIを活用していない業務のほうが珍しいという状態になってきました。

推進の仕方も工夫してきました。最初は各組織の個別活動が主体でしたが、成功事例が蓄積されてくるのに伴い、それを型化してカタログ化し、マネージャの責任のもとで組織に浸透させてきました。同時に、組織横断のナレッジ共有の場を整えて、創発的な取り組みが生まれやすい土壌をつくってきました。ボトムアップとトップダウンの両軸でAI活用を推進してきた結果として、シフトレフト(開発の上流工程で品質を確保する考え方)は着実に進んでいると実感しています。

まだ道半ばですが、AIの浸透を土台にして、私たちエンジニアはお客様への価値提供においてよりレバレッジの効くポジションに挑戦していかなければなりません。AIネイティブな開発組織への進化は、今まさに進行中です。

―― 開発としての事業への関わり方を教えてください

お客様あってのプロダクトですので、自分たちが作りたいものを作っていればいいわけではありません。お客様がどういう人たちで、どんな業務を日々こなしていて、何に困っているか。それを解像度高く把握することが、お客様への価値提供の出発点になります。だから私たちの組織では「顧客志向」という考え方を非常に重視しています。そしてこれを重視すればするほど、ビジネスサイドとの距離は自然と縮まっていくと思います。

具体的には、顧客ヒアリングへの同席、顧客との商談動画の共有、βリリースでのフィードバック収集など、さまざまな形でお客様の声に触れる機会をつくっています。こうした行動のほとんどは、営業や企画などビジネスサイドとの協業なくして実現できません。エンジニアがお客様に近い場所で動いている環境が、ここには自然とできあがっていると思います。

さらに当社の場合、自社プロダクトを社内で使い倒しているのも大きな特徴です。組織内から出てくる声(組織内VoC)を収集することで、お客様にとっても有益な改善提案につなげられます。そういう仕組みが、顧客志向を言葉だけでなく実践として根づかせていると感じています。

―― チームの雰囲気を教えてください

雑談の多さや懇親会の頻度はチームによって違います。東京と大阪という拠点の違いもありますし、メンバーのキャラクターによっても濃淡があります。ただ、コミュニケーションを大切にしているという点は、どのチームにも共通しています。

毎月、お酒や軽食を片手に技術ネタを語り合う「ビアバッシュ」や、社内技術カンファレンス、組織横断の交流会など、コミュニケーション活性化やナレッジ共有に長年寄与してきたイベントが数多くあります。これらが長く続いているのも、組織全体にコミュニケーションを重視する文化が根づいているからだと思います。ビアバッシュで知り合ったエンジニアが後日プロジェクトで協業するケースも珍しくなく、横のつながりが実際の仕事に活きている場面をよく目にします。

もちろん業務に集中するときは集中しますし、ドキュメントや文字による情報伝達の確実性も大事にしています。ただ、直接会話することでしか生まれない信頼関係や、相談しやすい土壌というのは確実にあります。その土台があるからこそ、仕事でも踏み込んだ議論ができます。そういう雰囲気のチームだと感じています。

―― ラクスではどんなやりがいを感じられますか?

ラクスには、非常に多くのお客様にご利用いただいているプロダクトがいくつも存在します。社会的に名前の通った企業様も少なくありません。そういった顧客の事業成長を支えているという感覚は、大きなやりがいにつながると思いますし、実際にメンバーからもそういう声をよく聞きます。責任は大きいですが、それだけ自分たちの仕事が社会に直接つながっている実感を持てる環境です。

それから、リリースして終わりではないという点も面白い部分です。βリリースでお客様からフィードバックをもらいながら開発を進めるスタイルも増えてきており、自分たちでプロダクトを創って育てていく感覚があります。開発に終わりはなく、ずっと進化を続けていきます。そのプロセスに関われることがやりがいになる、という人にはとても合う環境だと思います。

さらに、規模の大きいプロダクトの運営だけでなく、新サービスの立ち上げなどスタートアップに近いプロジェクトも並行して動いています。0→1・1→10・10→100という多様な経験を、一つの組織の中でできること。それも、ラクスならではの大きな魅力だと感じています。

―― マネジメントにおいて大切にしていることを教えてください

メンバーに「任せる」ことを最も重視しています。経験したことがないことは永遠にできるようになりません。まず経験してもらうことが出発点です。

そして、最初から完璧なアウトプットは求めません。100点でなくていい。60点でも80点でも、もっと言えば10点でもいいので、早くアウトプットして当たりをつけることの方が重要だと思っています。物事を前に進めるには、完璧を待つより早く試す方がよいと考えています。そのためにマネジメントとして常に意識しているのは、相談しに来てもらいやすい敷居の低さです。相談しやすい風土と関係性をつくることが、その実現につながります。

メンバーが自律的に動けることが最終的なゴールです。自律性を身につけてもらい、それを発揮してもらう環境をつくること。そのために自分が何をすべきかを考え続けることが、私の思うマネジメントの仕事です。仮説を立てた上での失敗には大きな価値があります。なぜなら、それ自体が大きな学びの機会になるからです。失敗を恐れずチャレンジし、どんどんフィードバックを得て自律的な成長につなげる。そういう考え方を組織に根づかせていきたいと思っています。

―― 活躍できる方の人物像を教えてください

マネージャとして活躍できるかどうかは、どれだけ人に任せられるかにかかっていると思います。自分でやってしまうのではなく、人に経験させます。ただ、それだけでは不十分で、現場で何が起きているかを解像度高く把握できることも同時に必要です。一見矛盾するようですが、積極的に現場に入って情報を取りに行く姿勢、わからないことをわからないままにしておかない姿勢があれば、この二つは両立できます。これを厭わずできる人は、必ず活躍につながると思います。

メンバーとして活躍できるのは、待ちの姿勢ではなく自分で考えて動ける人です。失敗してもいい。取り返しはつきます。それよりもフットワーク軽く動けるかどうかの方がずっと重要です。ただ、手あたり次第ではなく、論拠をもって仮説を立てて試行し、違っていたら次の仮説へ向かって進める。そのサイクルを自分で回せる人が活躍できると感じています。

―― 入社後に一緒に取り組みたい課題と、目指す組織像を教えてください

まず実現したい重要な目標が、「AIネイティブ開発組織への進化」です。全員がAIを当たり前に使っている、業務領域や工程の縛りなく網羅的に活用できている状態を目指します。この実現が、次のステージへ進むための土台になります。

並行して、ベトナムのオフショア開発組織をより自律的に動ける組織へと成長させる「ボーダ(境界)レス開発の推進」も進めていきます。日本のチームとスキル・知見の隔たりを全く感じることなく並行開発できる状態が目標です。

そしてこれらを実現した先に目指すのが、AI機能を搭載した次世代プロダクト群の開発、さらにそれを有機的に統合して本質的価値提供につなげる「統合型ベストオブブリードへの進化」です。AIと人の間で境界線はあいまいになってきています。一つの領域に閉じずに越境しあい、補完しあう組織が今後のスタンダードになっていくはずです。課題は山積みで、求めるポジションも一つではありません。広い視座をもち、あらゆる領域でチャレンジできる方に、ぜひ来てほしいと思っています。

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