PROFILE
ツールから組織の仕組みまで。
ラクス開発本部のAI活用全体像
2026年8月時点
ラクス開発本部におけるAI活用の全体像を、「①AI開発ツール」「②組織の仕組み」「③浸透させる取り組み」の3つの観点から整理します。
TOOLS
① AI開発ツール一覧
複数のAIツールを組み合わせて活用しています。導入初期はGitHub Copilotによるコーディング支援が中心でしたが、現在はコーディングから設計・レビュー・ドキュメント作成・テストまで、幅広い工程をClaude Codeがカバーしています。
- Claude Code
- GitHub Copilot
- Codex
- Gemini
- Cursor
- Devin
上記以外にも、現場のニーズや個々のシチュエーションに合わせて、申請により多様なツールを導入・活用できる環境を整えています。
SYSTEM
② 組織の仕組み:AI駆動開発実践カタログ
AI活用度が人によってばらつくのを防ぐため、「AI駆動開発実践カタログ(20項目)」を定義しています。このカタログでは、開発・インフラ・QA・PdM・PDの各職種を対象に「企画・要件」「開発」「リリース・運用」「フェーズ横断」の4領域でAI活用の実践項目をリスト化しており、2026年度中の開発本部全体での完全実現を目指す取り組みです。
AI支援コーディングの標準化、AI支援コードレビュー、AI利用ルールの明文化といった項目により、「なんとなく進んでいる」状態から「定量的に語れる」状態への転換を図っています。
浸透のさせ方にも仕組みがあります。現場発の小さな試みを、まずは検証済みの成功事例として型化・カタログ化し、マネージャーの責任のもとで組織全体へ育てていきます。
このように、ボトムアップの実践とトップダウンの仕組み化を組み合わせて広げているのが特徴です。
活用状況の可視化(定量実績)
AI活用の広がりは、感覚ではなくサーベイによる数値で継続的に追跡しています。2025年9月の第1回、2026年2月の第2回で実施した「開発本部 AI活用状況サーベイ」では、開発本部全体のAIコミット率が43.3%から58.3%へ15ポイント向上しました。
コードの生成比率75〜100%のメンバーの割合が50%以上に増え、実装工程だけでなく、要件定義・概要設計といった上流工程でも活用が広がっています。
開発本部全体のAIコミット率
43.3% → 58.3%
実装工程のAI生成比率
70〜90%台
要件定義・概要設計のAI生成比率
50〜60%超
可視化の手段は1つに絞らず、AI駆動開発実践カタログによる実践度評価やAI駆動開発サーベイなどを組み合わせています。サーベイの設計では、他社の実施しているAI浸透度調査を参考にしながら、「プロセス別のAIコミット度」という独自の設計で進めています。
AI活用率の伸びは、開発現場の成果としても表れています。
コミットからマージまでのサイクルタイムは数分の1以下に短縮され、リリース頻度は倍近くに上昇した開発課もあります。
また、別のある開発課ではコミットからオープンまでの平均時間が50%削減され、実装の90%以上をAIで生成する体制が整っています。そして別の開発課では、仕様駆動開発(SDD)の導入と合わせて、開発工数が約50%削減されています。
今期はこうした取り組みをさらに一歩進め、以下の4つの柱で推進しています。
- AI駆動開発手法の標準化
- 商材特性に応じた最適化
- ナレッジの体系化・横展開
- 浸透度・生産性の可視化
CULTURE
③ 浸透させる取り組み
RAKUS AI Conference
社外向けには、AI活用の実践事例を発信するオンラインイベント「RAKUS AI Conference」を年2回開催しています。2026年7月開催の「RAKUS AI Conference 2026 Summer」では、「個人のAI活用を、組織の力に変える。ラクス開発本部、5つの実践事例を一挙公開。」をキャッチコピーに、CTOによるAIネイティブ組織化の話から、伝票作成AIエージェントのLLMOps、仕様駆動開発導入の実践、AI返信補助機能の開発プロセスまで、5つのセッションを実施しました。

社内AI勉強会
社内向けでは、AI開発課・AIエージェント開発課が中心となり、毎月「AI勉強会」を開催しています。単発の座学ではなく、実際にプロダクトへAIエージェントを組み込んでいるメンバーが、自分たちが手を動かして得た知見を定期的に共有する場になっているのが特徴です。
これまでのテーマも実践的なものばかりです。
- 伝票作成AIエージェントのアーキテクチャ設計や、EKS/KEDAを使ったスケーラブルな運用基盤の構築事例
- 生成AIプロダクトを開発する中で直面したプロンプトチューニングの試行錯誤
- LLMOps・AgentOpsの調査や、AIエージェントの評価設計・評価指標づくりのノウハウ
- Spring AIなど最新フレームワークを使った証憑取得AIエージェントの実装例
「うまくいった話」だけでなく、苦労した点や試行錯誤の過程も率直に共有されるため、AI開発の知見が部署を越えて蓄積されていきます。
こうした学び合いの文化が、ラクスのAIプロダクト開発を支えています。
チーム単位の情報共有会
AI開発課・AIエージェント開発課が主導する勉強会とは別に、チーム単位でのAI情報共有会も各所で開催されています。各チームのAI推進担当者が週次・月次などのペースで独自に情報共有会を開き、AI活用事例やトラブル対応、運用ノウハウを持ち寄っています。
こうした場で共有された内容は毎回議事録として記録され、後から参照できる形で蓄積されます。議事録は要約付きで社内のSlackチャンネルへ共有され、その場に参加していないメンバーにも知見が広がっています。
SUMMARY
まとめ
ラクス開発本部では、このようにAI活用を組織的に推進しています。
様々なAIツールを利用できる環境を整え、誰もが活用できるよう仕組み化しているほか、サーベイやカタログを通じて活用状況を定量的に把握し、そこから見えた課題をもとに次の浸透施策を検討しています。浸透施策としては、社外向けにRAKUS AI Conference、社内向けにAI勉強会を開催し、ナレッジが共有される仕組みを作っています。
ツールを導入して終わりにせず、測定と共有を組み合わせて活用を広げ続けているのがラクス開発本部のAI活用です。
